新方式のルヴァン杯が狙う人気拡大とクラブ力の底上げ、思惑通りの兆候にJリーグも手応え
サッカー・JリーグのYBCルヴァン・カップ(ルヴァン杯)が、今季から大会方式を大幅に変更した。原則、J1勢が出場した昨季までと違い、J1~3の全60クラブが参戦。会場を下位カテゴリーのクラブ本拠地とすることで、普段より多い観客での試合運営を経験し、刺激を受けてもらうといった狙いもある。ここまでJリーグの思惑通りに進んでいる兆候はあり、Jリーグはクラブ側の考えに耳を傾けながら大会方式を洗練させていく方針だ。 【写真】Jルヴァン杯2回戦の八戸―鹿島戦に駆けつけた大勢の鹿島サポーター 昨季までのルヴァン杯は原則、J1クラブを複数のグループに分けてホームアンドアウェーのリーグ戦を行い、勝ち抜いたクラブにアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)出場クラブを加えて決勝トーナメントを戦っていた。 今季のルヴァン杯は「ファーストラウンド」、「プレーオフラウンド」、「プライムラウンド」の3段階に分かれる。「ファーストラウンド」はACLの決勝トーナメントに出場した横浜M、川崎、甲府を除く57クラブを10グループに分けた一発勝負のトーナメント、「プレーオフラウンド」はファーストラウンドを突破した10クラブを5カードに分けたホームアンドアウェー、「プライムラウンド」はプレーオフラウンドを突破した5クラブとACL組の計8クラブによるホームアンドアウェーのトーナメントで、決勝は中立地開催での一発勝負となる。 4月17日に青森県八戸市で行われたファーストラウンド2回戦の八戸(J3)-鹿島(J1)は、Jリーグの狙いが当たる象徴的な試合となった。チケットは日本フットボールリーグ(JFL)時代の2016年10月3日のMIOびわこ滋賀戦以来となる完売で、今季のJ3における1試合平均1390人(第13節まで)を大幅に上回る4884人が観戦。八戸は延長戦の末に1-2で敗れたものの、後半37分に失点するまで1-0とリードして、サポーターに番狂わせの期待感を抱かせた。 八戸の広報担当スタッフは、「J1でも強豪の鹿島と好ゲームができ、トップチームは自信を持てた。チケット収入は増え、八戸市内のホテルや公共交通機関も多くの利用があってホームタウンの活性化にも貢献できた」と新方式の効果を実感。「観客が多い中での駐車場確保やシャトルバスの増便、スタジアムスタッフの増員といった面で貴重な経験を積めたので、今後の成長につなげたい」と振り返る。 4月24日に鳥取市で行われたファーストラウンド2回戦の鳥取(J3)-浦和(J1)には、7667人が来場。浦和が国内屈指の人気クラブということもあり、今季のJ3における1試合平均2544人(第13節まで)を大幅に上回った。普段リーグ戦が行われる休日の昼と比べ、集客が難しい平日夜開催での大幅増だけに、効果のほどがうかがえる。