「もしトラ」から「ほぼトラ」を経て「確トラ」へ?
野党共和党の予備選挙では、ドナルド・トランプ前大統領が初戦の中西部アイオワ州から勝利を重ねて、快進撃を続けている。多くの州で党員集会および予備選挙が開催される3月5日の「スーパーチューズデー」では、中でも注目される大票田の西部カリフォルニア州が「比例配分」ではなく、「勝者総取り」を採用したため、トランプ前大統領が169の代議員を全て獲得して、共和党大統領候補指名を確実にすると見られる。 その後、共和党予備選挙は3月12日に南部ジョージア州、同月19日に南部フロリダ州や中西部イリノイ州、オハイオ州など重要州で選挙が実施される。3月にトランプ前大統領は、共和党大統領候補に必要な1215の代議員数に達する可能性が高い。 本選に入っても、トランプ前大統領のこの勢いは止まらないのだろうか。「もしトラ(もしもトランプが大統領になったら)」から「ほぼトラ(ほぼトランプが大統領)」を経て、「確トラ(確実にトランプが大統領)」になるのだろうか。本稿では、ロシアはどのようにしてトランプ前大統領を「確トラ」にするのかについて述べる。また、「確トラ」になった場合の中国と日本との関係についても考えてみる。
世界における米国の役割
バイデン支持者とトランプ支持者の間で、世界における米国の役割について、意見が二分している。米公共ラジオ、公共放送およびマリスト大学(東部ニューヨーク州)の共同世論調査(23年11月6~9日実施)によれば、2020年米大統領選挙でバイデン大統領に投票した有権者の67%が「米国は世界の出来事に対してリーダーシップを発揮することが重要である」と回答した。一方、トランプ前大統領に投票した有権者の57%が「米国は国内の問題に焦点を当て、世界の出来事に関してリーダーシップの役割を減らすべきである」と答えた。 注目すべきは、無党派層の56%が「米国のリーダーシップの役割削減」を支持したことである。ウクライナ、イスラエルおよび台湾に対する支援を含んだ緊急予算の成立を強く訴えるバイデン大統領が、無党派層の支持率を落としている理由のは、ここにあるのかもしれない。 また、英誌エコノミストと調査会社ユーガブの共同世論調査(23年12月9~12日実施)では、20年米大統領選挙でトランプ前大統領に投票した有権者の56%が「ウクライナに対する軍事支援削減」を支持した。さらに、米公共ラジオ、公共放送およびマリスト大学の共同世論調査(23年12月4~7日実施)では、20年にトランプ前大統領を支持した有権者のわずか6%が「ウクライナのみに追加予算を認めるべき」と回答した。