「もしトラ」から「ほぼトラ」を経て「確トラ」へ?
プーチンの真意
これらの数字は、一体何を物語っているのだろうか。ロシア国営テレビのインタビューの中で、ロシアにとってどちらの候補が好ましいか問われたウラジーミル・プーチン大統領は、次期米大統領に「バイデン」と答えたが、以上の数字をみれば、プーチン大統領の発言を額面通りに信じることは極めて難しい。プーチン大統領のこの発言には、「クレムリンが望む候補はトランプ」という一般的な見方をオブラートで包み、米国民を混乱させて彼らの認識を変える意図があったのかもしれない。 また、プーチン大統領はバイデン大統領について「予測可能で古いタイプの政治家」と、大抵の人が考える評価を下した。裏返せば、トランプ大統領は「予測不可能で、新しいタイプの政治家」であり、バイデン大統領よりも才能があるとの解釈も可能なほど巧妙な発言といえる。
カールソンの役割
トランプ前大統領と非常に近い関係にある米FOXニュースの元看板キャスターのタッカー・カールソン氏がモスクワ滞在中の2月6日、プーチン大統領にインタビューを行った。カールソン氏は、ハンガリーのオルバン・ヴィクトル首相に過去2回、21年と23年にインタビューを行った人物である。 エコノミストとユーガブの共同世論調査(24年2月11~13日実施)では、20年米大統領選挙でトランプ前大統領に投票した有権者の68%が、カールソン氏に「好感が持てる」と答えた。同氏は、トランプ支持者の間では人気が非常に高い。 トランプ支持を表明したカールソン氏は、トランプ前大統領に対して「援護射撃」を行った。1例を挙げてみよう。 トランプ前大統領は、共和党大統領候補による全てのテレビ討論会を欠席した。カールソン氏は、トランプ前大統領に事前にインタビューを行い、収録して、1回目の共和党大統領候補テレビ討論会と同じ時間に、自身のX(旧ツイッター)で公開した。ニッキー・ヘイリー元国連大使などの共和党大統領候補が、トランプ前大統領を批判するテレビ討論会から、トランプ支持者の目をそらせたのだ。トランプ前大統領とカールソン氏は大統領選挙で戦略的に協力している。 カールソン氏のロシア訪問についても、トランプ前大統領は同氏と連絡を取り合っていたとみるのが自然だ。となれば、カールソン氏はトランプ前大統領のメッセンジャー、即ち、「特使」とみることができる。