「もしトラ」から「ほぼトラ」を経て「確トラ」へ?
ロシアとディールの可能性
仮にそうであるならば、カールソン氏はプーチン大統領にトランプ前大統領のどのようなメッセージを運んだと考えられるのか。また、カールソン氏の「隠されたミッション」は何であったのか。 トランプ前大統領は、カールソン氏を通じてプーチン大統領とのディールの可能性を探ったのではないだろうか。ウクライナへの軍事支援の大幅削減や北大西洋条約機構(NATO)脱退と引き換えに、ロシアに選挙協力を求めるというディールの提案は、トランプ前大統領であれば排除できない。 こうしてみると、トランプ前大統領が本選で勝利した場合、側近たちの重要性が増す。1期目のトランプ政権で同前大統領を説得してNATO脱退を阻止したジェームズ・マティス元国防長官、レックス・ティラーソン元国務長官やジョン・ケリー元大統領首席補佐官のような人物が、NATO脱退のカードを切ろうとしたトランプ前大統領を押し止めてくれる。彼らのような人物が2期目のトランプ政権にいるのかが、ヨーロッパ諸国や日本に極めて重要になってくる。
すでにロシアの選挙介入は始まっているのか?
選挙協力に関して言えば、ロシアはイスラエル・ガザ戦争が民主党を分裂させたので、選挙介入して、その分裂を拡大し易い。パレスチナに同情を示す民主党支持の若者とアラブ系およびリベラル派は、「停戦」を重視しないバイデン大統領を「パレスチナ人の大量虐殺を支持した」として強く非難している。 ここ数カ月、バイデン大統領の集会にイスラエル・ガザ戦争における停戦を求める複数の抗議者が現れ、演説が中断する場面がある。ただ、その背景にロシアの存在があるのではないかと疑問を呈するナンシー・ペロシ元下院議長のような人物がいる。 ロシアは生成AIの活用や、ネット上でのフェイクニュースの拡散により、反バイデンのデモを行う若者等を煽り、トランプ前大統領に選挙協力をすることが可能である。つまり、プーチン大統領とトランプ前大統領のディールは、十分あり得る。