「生体分子シークエンサー」国産プロトタイプ開発 大阪大、国産化へ期待高まる
大阪大学産業科学研究所の谷口正輝教授らの研究グループはがん治療などの遺伝子検査に必要な「生体分子シークエンサー」の国内初となる国産プロトタイプを開発した。1日に大阪市内で谷口教授、大城敬人准教授が出席して説明会が行われた。 生体分子シークエンサーは遺伝情報を解読するための装置。生体分子情報は、がんや難病における個別化医療の研究・創薬、微生物を利用したバイオなどのものづくりなどの工業分野、遺伝子組み換え情報を利用した品種改良などの農業分野に不可欠な情報だ。 生体分子シークエンサーの利用はこれまで米国、英国、中国などの海外製品に依存してきた。しかし海外製品による検査を委託すると受託中止の例もあり、ゲノムデータが海外に流出、経済安全保障の面からも海外機器への依存は不安視されてきた。 そこで国産化の可能性を探ってきた研究グループは2008年から計測チップ(センサー)や計測機器の材料、作製プロセス、および機能のすべてを実用化の観点から見直し、シークエンサーの原理の検証に務め、このほどプロトタイプの開発に成功した。 今回の成果では検査・医療機器でH・U・グループ中央研究所が協力、機器の製造はソニーグローバルマニュファクチャリング&オペレーションズに委託した。 商品化は2年後の見通しだが、会見で谷口教授は「国産化に成功すれば多額の国費流出が免れ、医療費圧迫の抑制にもつながる」と語った。 研究グループは生体分子シークエンサーに続き、「ぺプチドシークエンサー」の開発をめざす。 同プロトタイプ製品は9日から11日までパシフィコ横浜で開催の「BioJapan2024」で展示予定。
電波新聞社報道本部