「遺言書を書かせて遺産を…」独り身高齢者を狙う悪質な身元保証会社、やばすぎる実態
入居一時金数億、富裕層のみが入居できる“終の棲家”が、今話題の「超高級老人ホーム」だ。ノンフィクションライター・甚野博則氏の新刊『ルポ 超高級老人ホーム』では、至れり尽くせりの生活を享受するセレブな高齢者たちの実像に迫っている。だが、どんなに豪華な施設で暮らしていても“死”は平等に訪れる。本稿では、40年近くにわたり高齢者向け介護事業のコンサルタントをつとめる、株式会社タムラプランニング&オペレーティング代表取締役の田村明孝氏に話を伺った。(取材:甚野博則、構成:ダイヤモンド社書籍編集局) ● “老人ホームで看取り”が一般的に ――老人ホームでの「死」、つまり看取りについてお伺いしたいと思います。たとえば、老人ホームの中には看取りまで行うホームもありますが、その対応にはバラつきがあるようです。実際、職員がどのような段取りで看取りを行うのか、教えていただけますか? 田村明孝(以下、田村):看取りは、今入居を考えている方々が最も気にされるテーマの一つですね。たいていの人が「病院では死にたくない」「できれば自宅で」と考えています。しかし、自宅での看取りが難しいため、ホームで最期を迎えたいと思う人が増えています。 たとえば、「うちは看取りをしています」というホームであっても、その内容や質には大きな差があります。極端な話、「部屋で亡くなれば看取りをした」と思っているホームもあります。しかし、本来の看取りとは、家族や本人が満足感を得られる環境を整え、その人らしい最期を迎えられるようにすることです。 ――「その人らしい最期」とは? 田村:具体例として、世田谷区の「芦花ホーム」の嘱託医だった石飛幸三先生の取り組みがあります。石飛先生は『平穏死のすすめ』という本を書かれていますが、その中で「胃ろう」などの医療行為がかえって苦痛を生むケースが多いと指摘しています。 たとえば、病院で胃ろうをつけられて戻ってきた入居者が、誤嚥性肺炎を繰り返し、苦しみながら亡くなることがあったそうです。石飛先生は、胃ろうをやめて口から食べられるようにした結果、入居者が回復し、免疫力も向上したケースがあると話していました。 また、スウェーデンの看取り文化では、家族がいつでも訪問できる環境を整えています。夜中であろうと、必要があれば泊まれる部屋があり、本人の好みに合わせたケアも行います。