トランプの元経済政策アドバイザーが語った「EV補助金、ビットコイン、日米関係はこうなる」
自動車産業は大きく変わる?
──トランプ政権になって何かが大きく変わるとすれば、例えば、環境問題が挙げられます。自動車も電気自動車はもう歓迎されないでしょう。自動車産業などは大きく変わるでしょうか。 おそらくトランプは、売れない電気自動車の生産のための政策や補助金を出していることを問題視するだろう。アメリカでは電気自動車は非常に小さな市場に過ぎない。しかし、彼は外国企業がアメリカで車両を製造することを奨励する政策を打ち出す可能性もある。 電気自動車大手テスラのイーロン・マスクCEOは非常に創造的で起業家精神にあふれ、独創的に会社を築いてきた。テスラの自動車に需要があるのは確かだ。しかし、他のメーカーを見るとそうではない。 車のディーラーをしている私の友人は、需要がないため電気自動車を売ることすらできないと嘆いている。売れないのに、メーカーがディーラーに電気自動車の割当を課しているため利益率が非常に低いのだ。 私が若かった時代には「アメリカはエネルギーを自給自足できる国に戻るだろう」と言ったら人々は嘲笑していたが、過去20~30年にわたる多くの技術開発のおかげで、私たちは石油とガスの生産を自給自足している。 ──電気自動車を作るのに石油などエネルギーが必要だと指摘されています。 電気自動車には問題がある。それらの製造には、石炭火力発電所でつくられた電力が使用されているため、友人などは冗談めかして「石炭製(coal-made)」の車と呼んでいます。その石炭火力発電所が中国では毎月新しく建設されている。 消費者が望まない特定の業界に補助金を出そうとするのはおかしい。カリフォルニア州では、2035年までには内燃機関の自動車の販売を禁止する。ただアメリカには多くの炭鉱労働者や炭鉱もあり、多くの労働者がいる。トランプ大統領が再選されたら、明らかに異なる政策が出てくるだろう。 ──次の質問ですが、日本のビジネス関係者などと話をしていて今どんな話題がホットでしょうか? ビットコインやステーブルコインなどデジタル資産などについて話をしている。日本がその分野でリードしており、アメリカもそうなるはずだ。日本はこの分野で主導権を握ることが賢明だ。アメリカでは例えば、米証券取引委員会(SEC)は、ステーブル・コインやビット・コインは証券ではなく、通貨のような商品であるとほぼ同意している。この分野が健全に成長して拡大できるようにすべきだが、SECのゲンスラー委員長が、業界に確実性を与えることの妨げになっています。 私は規制反対の立場で、強制的な規制はあってはならないと考えている。政府機関が道を踏み外し、その権限を超えてしまったり、目的に合致していないルールを採用すると、イノベーションや成長の障害になる。 経済を見ると、M&A活動はここ数年で明らかに活発化しています。日本は健全な状況ではないか。少なくとも投資家の視点から、そして市場参加者の視点からは、おそらく日本の経済は強力だと思う。アメリカで投資したい企業も多いので、アメリカにとってもいいことだ。