メタ、米でファクトチェック廃止 トランプ氏との関係修復念頭か
Katie Paul Supantha Mukherjee Deborah Mary Sophia [7日 ロイター] - 米メタ・プラットフォームズは7日、米国で「フェイスブック」、「インスタグラム」、「スレッズ」のファクトチェックを廃止すると発表した。 マーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)はこれまで検閲が行われているという批判を浴びつつもファクトチェックを推進してきただけに、大きな方針転換となる。20日に就任するトランプ次期米大統領との関係修復を目指していることも背景にあるとみられる。 メタは先週、渉外トップに共和党系政策幹部ジョエル・カプラン氏を昇格させ、6日には総合格闘技団体UFCのCEOでトランプ氏に近いダナ・ホワイト氏を取締役に指名すると発表した。 ザッカーバーグ氏は動画で「間違いや検閲が多すぎる状況に陥っている。表現の自由という原点に立ち返る時だ」と言明。先の選挙が自身の考えに影響したことを認め、「言論優先に回帰するという文化的な転換点のように感じる」と述べた。 今後、移民やジェンダーなど物議を醸す投稿の正確性についてはユーザーがフィードバックできる「コミュニティーノート」を導入し、自由度を高める方針とした。コミュニティーノートは、イーロン・マスク氏率いるXの投稿管理と似た機能となる。 「重大な違反」に該当するコンテンツや、テロ、違法薬物などのコンテンツの削除に自動システムを集中させる。ヘイトスピーチやその他の違反投稿を積極的に検閲することはやめ、今後はユーザーからの報告に応じて対応する。 ザッカーバーグ氏はまた、コンテンツポリシーなどを監督するチームをカリフォルニア州からテキサス州などの他地域に移転する計画を明らかにした。 メタの広報担当者は、具体的にどのチームがテキサスに移動するのか、また他の場所に移動するチームがあるのかについては明言しなかった。ファクトチェック側のミスや偏見の例を挙げることも避けた。 また、ファクトチェックを廃止するのは米国のみで、欧州連合(EU)のようにIT企業により積極的な規制をかけている地域でのファクトチェックを終了する予定はないとした。 2016年に始まったファクトチェック・プログラムの廃止はパートナー団体を驚かせた。 ファクトチェックのニュースサイト、チェック・ユア・ファクトの編集長は、メタがファクトチェックを廃止するとは知らなかったのでショックだとし、「間違いなくわれわれに影響を与えるだろう」と語った。 国際ファクトチェックネットワークの代表は、ザッカーバーグ氏が同ネットワークのファクトチェックメンバーに偏見や過度の検閲傾向があると指摘したことに異議を唱えた。「ファクトチェック・ジャーナリズムが投稿を検閲したり削除したりしたことは一度もない。メタが使用するファクトチェッカーは非党派性と透明性を求める原則に従っている」と声明で述べた。 AFP通信はロイターの取材に「われわれも今日、(ファクトチェック廃止の)ニュースを知った。ファクトチェックのコミュニティーとジャーナリズムにとって大きな打撃だ」と答えた。 トランプ氏は今回のメタの発表について問われると、ザッカーバーグ氏はおそらく自身への脅しに対応したのだろうと語った。