日本の帽子産業を牽引する「CA4LA(カシラ)」の歴史と未来
定番モデルを現在はサステナブルな素材で
先程紹介してもらった「KOTSUBA4」のように昔から定番として存在するが、近年サステナブルな素材に切り替わったアイテムがあるという。そのアイテムや環境配慮された素材について、湯原さんにお話しいただこう。 「さまざまな形に変形できるワイヤー入りキャスケットで『FREEDOM JOURNEY PL 2』という商品があります。ツバ先やクラウン部分に入ったワイヤーで、くしゃっとつぶしたり、斜め前に倒したり、自由自在に形を整えられます。 ボディには、アップサイクル素材を原料としたリネンライクな生地を使用しています。このアイテムもかなり昔からあるもので、長年たくさんの方に愛用されています。 このアイテムの他にも、さまざまな型で環境配慮された素材を使っていこうというのが会社全体としての動きになっています。リサイクルコットンをはじめとして、廃棄されるような野菜を使って染めた生地を使ったり、エコマークの認定基準を満たしたリサイクルポリエステルを使ったり、素材も時代に合わせて移り変わっています」
後継者不足、高齢による廃業などから日本の帽子の産業を守る
この数十年、帽子に限ったことではないと思うが、ファッション業界において生産拠点がどんどん海外に移っていくなかで、CA4LAはMade in Japanにこだわり続けている。アトリエと呼ばれる自社工場やマイスターと呼ばれる職人の育成のことなどを、ふたたび秋元さんにお話しいただこう。 「私たちCA4LAはずっとMade in Japanでやってきて、それが普通だと思っていましたが、いつの間にかそれは普通ではなくなってきています。いまは帽子の産業を守っていかなくてはならないと思うようになり、その点でCA4LAの役割の大きさを感じるようになりました。 兵庫県西宮に老舗の帽子工場があり、99年続いたものの廃業するということだったので、100年目を継いでCA4LAのアトリエとして生まれ変わらせて、いまも稼働しています。 この西宮のアトリエを含めて4つのアトリエがあります。本社に併設した恵比寿アトリエ、表参道とGINZA SIXにも店舗に併設したアトリエがあります。 それぞれのアトリエに役割があり、西宮と恵比寿は量産体制が整っていて、店舗併設型の表参道とGINZA SIXでは修理やカスタムオーダー、フルオーダーなどに対応しています。フルオーダーになると衣装として使われる場合が多く、ミュージシャンや劇団などからも依頼があります」