覚えていますか?ケガには「赤チン」~保健室に家庭に常備されていた懐かしの薬
姿を消した赤チン
そんな「赤チン」にも時代の波が押し寄せた。1970年代になると、無色の消毒液が登場。いわゆる「白チン」などと呼ばれ、赤チンと違って色が目立たないことから、人気を集め始めた。スプレー式もあったため、使い勝手もよかった。さらに赤チンの「マーキュロクロム液」には、少量だが、その製造過程で水銀が発生した。廃液の処理に費用がかかった上、水銀製品の製造を規制する法律も作られ、赤チンの数はますます減った。2020年(令和2年)いっぱいで、1社だけ残っていたメーカーも製造を終了した。発祥の米国でも、同じように製造が終了している。 そんな「赤チン」の思い出を振り返りながら、最近は、子どもたちが校庭や公園で遊ぶ風景が少なくなってきたことに思いをはせる。その意味で「赤チン」は、外で遊ぶ機会が多かった昭和の時代を象徴する一品でもあった。赤い色によって、外で遊ぶ子供たちをしっかりと支えていた。そんな「赤チン」も、そして遊んでケガをする子どもたちも、今では"記憶遺産"の仲間入りを果たしたのかもしれない。 【東西南北論説風(471) by CBCテレビ特別解説委員・北辻利寿】 ※『北辻利寿のニッポン記憶遺産』 昭和、平成、令和と時代が移りゆく中で、姿を消したもの、数が少なくなったもの、形を変えたもの、でも、心に留めておきたいものを、独自の視点で「ニッポン記憶遺産」として紹介するコラムです。 CBCラジオ『多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N』内のコーナー(毎週水曜日)でもご紹介しています。
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