米国の年内利下げ可能性は低い、ヘッジファンドのロコス幹部が予想
(ブルームバーグ): クリス・ロコス氏のヘッジファンド会社、ロコス・キャピタル・マネジメントのグローバル市場責任者を務めるリチャード・タン氏は、米連邦準備制度理事会(FRB)が今年利下げをする可能性は低いとの見方を示した。
タン氏は16日のブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、今年はとりわけ米大統領選挙を控えているためインフレの行方を予測するのは非常に難しくなっていると指摘した。市場は年内に2回の利下げを想定している。
タン氏は「FRBが年内に利下げを実施できる可能性は低い。大統領選挙という重要なイベントがあり、それが政策に影響する。その全てを乗り越えた後の次の会合で、利下げになるのか利上げになるのかの確率はほぼ五分五分だ」と話した。
中央銀行はフォワードガイダンスの提示を常習的に行っているが、予測はこれまで金融政策当局者の信頼を裏切り続けているとタン氏は指摘。中銀の次の政策行動を予想する上で市場は経済データに頼るべきではないというのが最近の歴史からの教訓だと論じた。
さらに、大統領選挙でどちらが勝利してもインフレを誘発するような政策が取られる可能性が高く、トランプ政権が誕生する場合の潜在的な関税措置を巡る不確実性は、金融当局が政策行動を先読みすることを特に難しくしていると同氏は述べた。
シタデルの創業者ケン・グリフィン氏も、トランプ氏もバイデン氏も連邦政府の支出を減らすことはないだろうとして、それが米国のインフレ率を下げる重要な障害になっていると語っていた。
タン氏は「われわれは新しい体制に入った。従来の計量経済モデルの相関関係はもはや通用しない。インフレが実際にどのように形成されるかは、誰にも分からない」と付け加えた。
原題:Rokos Hedge Fund Executive Rules Out Any Fed Rate Cuts in 2024(抜粋)
--取材協力:Nishant Kumar.
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Liza Tetley, Francine Lacqua