現役女子大生「俥夫」に聞いた 人力車で観光を楽しむポイントは?
【目からウロコ 大人の寺子屋】 高田彩々良さん(順天堂大2年生) 力仕事のイメージが強い人力車ガイド(「俥夫」)。体力面で不利と思われがちな女性俥夫だが、「お客さまに喜んでもらえるのは男女関係ない」と高田彩々良さんはきっぱり。男勝りに頑張るだけでなく、女性ならではの気配りともてなしで客の心をつかむ。人力俥夫を務める彼女に、仕事のやりがいと今後の目標を聞いた。【全2回/後編】 女子大生・宮崎美子の人生を変えた篠山紀信の“1枚の写真” ◇ ◇ ◇ 【Q】女性だからとハンディに思うことはありますか? 「お客さまを引っ張るとき、『女の子に引かせられないよ』って断られることはよくあります。男性に比べると体力面で不利なのは事実ですが、自分なりに工夫はしています。力だけでなく、おもてなしの心を大切にしながら、男性俥夫に負けないようにと頑張っています」 【Q】逆に女性ならではのメリットはありますか? 「男性より女性の俥夫を指名してくれるお客さまもいらっしゃいます。特に女性のお客さまだと、同性の方が話しやすいとか、落ち着くっていって選んでくださる方も。ご家族だと、お子さまが安心するというのもあるみたいです。あと、やっぱり職場の仲間に可愛がってもらえるのはうれしいですね」 【Q】俥夫の仕事の魅力は何ですか? 「何といってもお客さまの笑顔が見られること。人力車は安くないので、お客さまの期待に応えるパフォーマンスをしないと。お客さまの記憶に残るような接客を心がけています。例えば、30分コースでどこを回るかは俥夫の裁量に任されているので、その時間内で最大限お客さまを喜ばせられるよう工夫しています。『彩々良さんでよかった』って言ってもらえた時は、ほんとにうれしいですね」
仕事を通して成長できたことが何よりうれしい
【Q】この仕事は自分に向いていると思った瞬間は? 「自分の武器は笑顔だと思っています。町を歩いている人に声をかけて人力車に乗ってもらうのって、自分を売り込む力が必要なんです。トークも大切ですが、何より笑顔が人を引き付けると実感しています。体力勝負というより、自分をどれだけ魅力的に見せられるかが大事。お客さまに『君に2万円あげるから私を楽しませて』って突然言われることだってあるんですよ。この仕事を通して、人との接し方がうまくなったように感じます」 【Q】人力車を利用する際のポイントは? 「自分のペースでゆっくり浅草を回りたい人は、30分や1時間のコースがおすすめ。でもスカイツリーまで行きたいとか、ダイナミックに走って風を感じたい! という方もいらっしゃいます。そういう時は俥夫とよく相談して、自分に合ったコースやプランを立ててもらうのがいいですね。ただ、ベテランさんだからうまいとは限らないので、経験の浅い俥夫さんでも、この人とは相性が良さそうだと思ったら、ぜひ乗ってみてください。若手ならではのフレッシュな魅力を発見できるかもしれません」 【Q】この仕事を通して得られたものは? 「やりがいを感じるといつの間にか人間力がついてくるんです。この仕事を通して成長できたことが何よりうれしいですね。お客さまの幸せな思い出づくりのお手伝いができるのが本当に楽しいんです。この楽しさをもっと多くの人に知ってもらえたらなって思います」 【Q】最後に今後の目標を教えてください 「浅草一の人力俥夫になることです! もちろん女性の中ではなく、男女関係なく浅草でナンバーワンになりたい。お客さまに喜んでもらえることが何よりうれしいし、やりがいにつながるんです。そのためにはまだまだ知識も経験も足りない。もっともっと頑張って、お客さまに『彩々良さんに乗ってよかった!』と心から思ってもらえるようになりたいですね」 =この項おわり (聞き手=いからしひろき) ▽高田彩々良(たかだ・ささら) 2004年秋田県生まれ。順天堂大学スポーツ健康科学部2年。高校までソフトボール部に所属。走ることが得意で、人力車の仕事に興味を持つ。2022年4月、ライズアップ東京力車にアルバイトとして入社。現在は浅草の人力俥夫として活躍中。