五輪まであと5年 東京に道路はまだ必要なの?
新国立競技場にエンブレム……。問題噴出の東京五輪ですが、2020年まであと5年しかありません。オリンピックに向けてのインフラ整備は、急ピッチで進められています。東京のインフラの中でも、特に心配なのが交通機関です。オリンピック開催時には、たくさんの外国人観光客が訪日することが予想されます。そうなると、競技会場へのアクセスには鉄道やバスが利用されるでしょう。用地買収や建設の期間を考えると、今から新しい鉄道路線を計画してもオリンピックに間に合いません。それでは、道路はどうなのでしょうか。
五輪のための整備は間に合わない?
先月末、三菱地所が東京駅前に国内最高の高さ390メートルの高層ビルの計画を発表しました。東京では都市の大改造が始まりつつあります。 都市改造の機運が高まる中、オリンピック開催のために急がれているのが交通インフラの整備です。1964年の東京五輪では、開会式までに間に合わせるように首都高や東海道新幹線を急ピッチで建設しています。今回の五輪はどうなのでしょうか? 「東京オリンピックで交通網の整備が必要であることは否定しません。しかし、建設の優先順位が変わることはあっても、オリンピックを理由に新しく道路をつくろうという話はありません。なぜなら、今からオリンピックのために計画を立てても間に合わないからです」(東京都都市整備局街路計画課) 日本でも有数の道路が整備されていると思われている東京ですが、実は道路は足りないのが現状です。 自動車で1時間に移動できる距離の全国平均は35.1キロメートルですが、東京23区は16.8キロメートル、多摩地区でも21.0キロメートルしかありません。東京は他都市とは比べても、自動車での移動に時間がかかる都市だといえます。 東京都内では、過密都市の宿命ともいえる交通渋滞が慢性的に起きています。それだけに、道路整備は東京都にとって喫緊の行政課題になっているのです。