右傾化したシリコンバレー、「反ウォーク」を支えるベンチャーキャピタリストたち
「彼らの望む方向に国の基盤を変えるには、何らかの暴力や大変動が避けられないだろう」
しかし、この団体のマニフェストで彼は、さらに暗いトーンを打ち出している。「私たちは文明のサイクルの終わりにいる。今後の数年間は、混乱と危険をもたらすが、それと同時に、ほぼ1世紀ぶりに西洋文明の方向性をかたち作る新しいモデルと制度を構築する機会が出現するだろう」とフィッシャは述べている。 彼はまた、たとえトランプの大統領再選が実現したとしても「左派がほとんどのレガシー機関を支配する現状を終わらせることはできない」と述べ、「我々の使命は、西洋文明をデジタル時代へと導くことだ」と結んでいる。 このような言葉は、社会の崩壊が差し迫っており、その到来を加速させる措置によって、より良い社会が構築されるという主張を含む「加速主義」との類似点を持つと、過激主義を専門とするミドルベリー大学のジェイソン・ブラザキス教授は指摘する。 「彼らの主張は、変革が必要であり、潜在的な浄化が必要だというニュアンスを含んでいるが、それが暴力を意味するとは言っていない。しかし、彼らの望む方向に国の基盤を変えるには、何らかの暴力や大変動が避けられないだろう」とブラザキス教授は述べている。 一方、フィッシャーは自身の主張がそれほど陰鬱なものではないと述べ、不安や内戦を煽る意図はないと説明した。社会的な大変動とは「広範な暴力」である可能性もあるが、「2008年の金融危機のような主要機関の崩壊や、ソビエト連邦の崩壊に似たかたちで起こる可能性もある」とフィッシャーは語った。 現在のところ、この団体はまだ初期段階にあるが、着実に勢いを増している。ニュー・ファウンディングの人材ネットワークは、現在3000人以上のメンバーを擁し、成長を続けている。同団体は「Project 2025(プロジェクト2025)」と呼ばれるトランプ再選後の計画とされる極右の計画に数十人の候補者を推薦している(なお、トランプ自身はその極端なアイデアのいくつかから距離を置いている)。ニュー・ファウンディングは、600万ドル(約9億5000万円)の1回目の資金調達を完了させた後、2025年にさらに資金を調達する計画だ。 トランプが再び政権を掌握した今、フィッシャーはニュー・ファウンディングのメッセージをより緩やかなものにして、単なるウォーク主義への反発とは異なる独自のビジョンを打ち出そうとしている。「私たちは、目指すべきポジティブなビジョンを徐々に定義している」と彼は語った。
David Jeans