新型ウルスSEは、新時代のランボルギーニだ! 3000万円超のスーパーSUVの存在価値とは
ランボルギーニの新しい「ウルスSE」に、小川フミオがイタリアで乗った! 電動化を果たしたラグジュアリー・スーパーSUVに迫る。 【写真を見る】新型ウルスSEの全貌(14枚)
驚きの800ps
ランボルギーニが、2024年5月に発表した新型ウルスSEに、11月にイタリアで試乗した。プラグイン・ハイブリッドシステムを得て、驚くほどの加速性をはじめ、スポーティさがうんと増した印象だ。 「ラグジュアリー・スーパーSUVにおける初のPHEV」を、謳うウルスSE。4.0リッターV8エンジンに電気モーターを搭載して、800ps(588kW)の最高出力を誇る。 モーターを加えることで、パワーにおいて従来のウルスS(666ps)を大幅に超越。それでいて、80%という驚異的な排出ガス削減を実現したとされる。ウルスSEの登場とタイミングを合わせて、従来のエンジンモデルは生産終了となった。 「当社は、全モデルをハイブリッド化した最初のラグジュアリーカーブランドとなりました」 アウトモビリ・ランボルギーニのステファン・ヴィンケルマンCEOは、11月30日、東京都新宿区にある国立競技場で開かれた「ランボルギーニ・デイズ・ジャパン」で、述べた。 環境適合性とパワーを両立させるのが、新しい時代におけるランボルギーニのありかた。それが、ウルスSEをドライブしてよくわかった。 ウルスSEはボディパネルにも手が入っていて、見る人が見ると、すぐに新しいとわかるはず。ランボルギーニによると、これでリヤのダウンフォースが上がり、冷却性能も向上したという。ボディも環境性能の一部なのだ。 あたらしい発見は、室内に赤く“EV”と記されたレバーが設けられたこと。言わずと知れたEVモードの始動スイッチである。一充電で60kmのEV走行可能とのことだ。となりに電池のアイコンのボタンがあり、こちらは充電モードのスイッチ。使いわけて走行可能だ。 EVモードは、期待通り、パワフルだ。483Nmのトルクを出すモーターが、ほぼ無音で、5123mmの全長と1638mmの全高をもつボディをぐいぐいと加速させていく。試乗したのは、ほぼ対向車がこない、ランボルギーニ本社近くのワインディングロードが中心で、このとき先行する「レヴエルト」に追いつくのも難なくこなせた。 それでも個人的には、4.0リッターV8エンジンのフィールが好ましい。意外なほど静かで、通過騒音規制など、欧州を中心に厳しくなるさまざまな規制にちゃんと対応しているのがわかる。それでもアクセルを踏み込んだ時の、爆発するようなパワーの出かたには痺れた。 ウルスSEでもうひとつ感心したのは、ハンドリングだ。実に軽快。タイトなカーブが連続する道も、ふた回りぐらいコンパクトなボディのクルマを運転しているような、軽い身のこなしをみせてくれる。 ステアリングは正確で、車体のロールは抑えられていて、8段オートマチック変速機が適切なギヤを選んでくれることもあって、アクセルペダルを軽く踏んでいるだけで、スイスイと、上りも下りもこなしてしまう。英語だと“No sweat”だと思った。 前輪には440mm径、後輪には410mm径のカーボンセラミックブレーキがおごられているので、減速はおどろくほど速いし、正確。踏み込んでいくときも、ブレーキペダルを踏んだ足の力を徐々に抜いていくときも、思ったとおりの減速感が得られるのもたのもしい。 ウルスSEのインテリアデザインは、ランボルギーニがこだわる「フィール・ライク・ア・パイロット」なるコンセプトが適用されている。つまりコクピット感覚。 ここはウルスがライバルと一線を画している点だ。見ているだけだとやりすぎ感が感じられるかもしれないけれど、運転席に身を置くと、クルマのダイレクトな操縦感覚とよく合っていると思える造型である。 価格は¥31,500,000超(なんでも為替の変動によるとか)、日本でのデリバリーは25年からだそうだ。ウルスは18年に登場以来、着実に進化している。ランボルギーニは、ウルスよりすこしコンパクトなSUVを計画中ともいわれるけれど、ふところに余裕のあるひとは、待たなくていいと思う。今ウルスSEに乗るのが、旬の楽しみだから。
文・小川フミオ 編集・稲垣邦康(GQ)