グループA参戦のために販売された500台の限定車たち
【R32スカイラインという存在 1990年式 日産 スカイライン GT-R ニスモ】 【画像14枚】レースで必要なものを残しつつ、30㎏軽量化を図ったGT-Rニスモ。大きなリアウイングは基準車と同じだが、ニスモはトランクフード後端に直立した小型のリアスポイラーが追加となる R32GT‐Rがレース参戦を前提に開発され、排気量も同じく規定に合わせて設定されたことは、先の基準車GT‐Rのページでも紹介した通り。これほどまでにレースと直結した市販車は過去に例がない。日産が照準を合わせたそのレースとは、ツーリングカー選手権グループA。そこでの絶対的な勝利のために、R32GT‐Rのエボリューションモデルとして1990年2月に500台限定で販売されたのが、GT‐Rニスモである。 グループAに参戦するには、連続する12カ月間に5000台以上を生産した車両がホモロゲーション(公認)の対象となると定められている。さらに、この規定の中には「グループA公認を受けた車両をベースに改造を施した車両を、年間500台生産すればエボリューションモデルとして公認を下す」という付則が設けられていた。過去にもこのレギュレーションを利用した例はあり、MA70スープラのターボAやR31スカイラインのGTS‐Rがそれだ。それらのエボリューションモデルは、タービンを大型化するなどして最高出力を大幅にアップすることで、戦闘力を高めていた。しかし、GT‐Rの最高出力はすでに280psで、市販車の自主規制いっぱい。つまり、さらなるパワーアップは不可能なのである。では、基準車のどこに手を加えたのか……ニスモが着目したのは3点。それがエアロパーツ、軽量化、そして耐久性だ。 スカイラインGT-R ニスモ(BNR32) 全長×全幅×全高(㎜) 4545×1755×1340 ホイールベース(㎜) 2615 トレッド(㎜) 1480(前後とも) 車両重量(㎏) 1400 エンジン型式 RB26DETT型 エンジン種類 直列6気筒DOHCツインターボ 総排気量(cc) 2568 ボア×ストローク(㎜) 86.0×73.7 圧縮比 8.5:1 最高出力(ps/rpm) 280/6800 最大トルク(㎏-m/rpm) 36.0/4400 変速比 1速3.214/2速1.925/3速1.302/ 4速1.000/5速0.752/後退3.369 最終減速比 4.111 ステアリング ラック&ピニオン サスペンション マルチリンク(前後とも) ブレーキ ベンチレーテッドディスク(前後とも) タイヤ 225/50R16(前後とも) 発売当時価格 441.0万円 初出:ハチマルヒーロー2017年1月号 vol.39 (記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)
Nosweb 編集部