テレビでの「子連れ防災特集」でも注目の被災ママパパたちと考えた防災術―ママプラグ『全災害対応! 子連れ防災BOOK 1223人の被災ママパパと作りました』祥伝社による書評
2024年元日に起きた能登半島地震。 改めて高まる防災意識に、 テレビ番組で紹介された『子連れ防災BOOK』の反響はとても大きなものでした。 著者のNPO法人ママプラグ代表の富川万美さんは言います。 「楽しく生活することで、自然と災害にも強くなる。 それが、ママとパパが子どもを守るためにできること」だと。 本書より一部を抜粋してお届けします。 ◆絶対に知ってほしい「子連れ防災」 ◇被災ママパパたちにヒアリング。家族と子どもを守る「防災術」 2011年3月11日14時46分、私は娘と遊びに行っていた東京都内の友人の家で被災しました。夫は地方へ出張中で戻ってこられず、当日は友人宅に宿泊。当時娘は2歳。しばらくは子連れでの外出が怖かったので、ママ友と協力して買い出しに出たり、子どもの面倒を見合ったりしていました 。 東京での混乱が少し落ち着いたころ、一緒に仕事をしていた幼い子どもを持つクリエイターらから「子どもが 小さいから被災地に出向くのは難しいけれど、被災地のママのために 何かできないか」という声があがりました 。 2011年の夏から、ママプラグの前身となる「つながる.com」と いうプロジェクトを立ち上げました。世界的なクレヨンアーティストのミレイヒロキ 氏の花の絵がプリントされた帆布を用意し、被災地のママや 子どもたちに色付けしてもらい、太田旗店でトートバッグに仕上げて販売。利益を支援物資に変えて配布しながら、同時に被災した家族の声を取材し、子どもの命を守るための体験談&防災術をまとめ出版。特定非営利活動法人を立ち上げ、行政とともに防災講座を開発し、全国で講座を行ってきました。 東日本大震災から8年。被災者の声をヒアリングしながら、子どもや要介護者、特殊なケアの必要な方の防災術をブラッシュアップしてきました 。 その間も、日本を襲った災害は、数え切れません。 備えなくては、と思いながら面倒くさい、何から手をつけていいのかわからない、防災グッズはインテリア的に美しくないから気が乗らないと、後回しにしてしまいがちな防災。その陰には、向き合いたくない不安や恐怖も潜んでいるのではないかと思います 。 人は、命に関わる問題をオブラートに包んで遠ざけてしまうか、完璧にしようとしてつらくなる、ということがあるように思います 。 ◇ 楽しく生活することで災害にも強くなる。それが「子連れ防災」 だからこそ、本当に必要な防災を身につけ、安心できる生活を手に入れてほしいのです 。そう、本来、防災意識や備えは「いざという時のために、お金と時間をかけてしかたなくやるもの」ではなく、日常の中で安全性を高め「家族みんなが安心して笑顔で暮らすため」にあるべき。この本はそのためにつくりました。 防災は千差万別です。家族の数だけ必要な防災があります。本書では、地震だけでなく、近年日本で起こった災害ごとに被災したママたちの声をまとめ、それに対応するための防災術を伝えていきます 。また、災害支援に携わる医師や防災士など、専門家の協力を得て、心身のケアまでを網羅した本をつくることができました 。 子どもを守るためにパパやママがやっていくべきことは、恐怖に怯えながらストイックに防災に取り組むのではなく「楽しみながら、日常生活の質を底上げする」ということ 。 何から手をつけていいかわからないという声には、「日常生活の工夫、育児での工夫は 、すべて防災になりますよ」と伝えています。 すべては、家族と子どもの安全と笑顔のために。少しずつでかまいません。子連れ防災、楽しくはじめましょう 。 ※本稿は『全災害対応! 子連れ防災BOOK』(NPO法人ママプラグ、祥伝社刊)「はじめに」をもとに作成しました [書き手]冨川万美(NPO法人ママプラグ) ■著者紹介:NPO法人ママプラグ クリエイティブな視点で家族の未来を設計する、事業型 NPO 法人。自ら考えて動く「アクティブ防災」を提唱し、全国で防災 講座を展開するほか、女性のキャリアを豊かにする「キャリア事業」などを中心に活動。https://web-mamaplug.com [書籍情報]『全災害対応! 子連れ防災BOOK 1223人の被災ママパパと作りました』 著者:ママプラグ / 出版社:祥伝社 / 発売日:2019年03月1日 / ISBN:4396616813
祥伝社