【考察】ベリンガムとエンバペ。ブラジル神童も加入でスター集結のレアル、指揮官はどう共存させるのか?
成功のシステムは?
ここでまず考えなければならないのは、レアル・マドリーの現在のプレースタイルと、ベリンガムから如何に最高のプレーを引き出すかということである。このイングランド代表選手は、ストライカーとして起用されたことがなく、実際は攻撃的ミッドフィルダーである。アンチェロッティ監督はベリンガムを陰の背番号9と表しているが、それも正確ではない。ほとんどの場合、ベリンガムは初めは深目のポジションにいて、そこからドリブルで相手ディフェンスに向かっていく。 ここで注意しなければならないことがある。ベリンガムの役割はレアル・マドリーがラ・リーガでしばしば低く守られると変わってきた。ピッチを自由に動きまわることもあるし、時には最前線に陣取ることもある。それでも、ベリンガムはストライカーではない。ただ、多くのゴールを決めているだけだ。そうした役割はエンバペが包括していく可能性がある中、ポジションを維持していくことは簡単なことではない。
ベリンガムは背番号9なのか
ベリンガムをピッチの前目に配置するのが、おそらくエンバペ加入後のレアル・マドリーで、最も簡単に構築できる新スタイルだろう。エンバペは左サイドでプレーするのが最も合っていて、ベリンガムはペナルティーエリア内でスペースを見つけるのが得意な素晴らしいゴール・スコアラーであるし、ヴィニシウスが逆サイドに対応することはほとんど問題ないはずだ。 それでも、解消すべきいくつかの問題はある。ヴィニシウスは右サイドでプレーする経験がなく、ベリンガムが本当に純然たるストライカーとして成功できるのか確かではない。ロドリゴが締めだされてしまう可能性もある。それこそが、ここ数週間の移籍をめぐる話題の中心だった。だが、アンチェロッティ監督がサッカー界最高の11人を手中にするという考えを描きたいのなら、これがそれを実現する理想的な方法だ。
エンバペのプレースタイル
それでもベリンガムのマルチぶりを考えると、チームのためにポジションを変えるという考え方もある。ユース時代、バーミンガム・シティで背番号22をつけていたのは有名な話で、4、8、10のポジションでもプレーできるだろう。プロ入りしてからの短いキャリアの中でも、さまざまなポジションに容易に適応できることは証明されている。 ボルシア・ドルトムントでの最後の数カ月や、ここ最近のイングランド代表でベリンガムは3トップの下で背番号8と10を合わせたような役割を担っている。チームの司令塔として頼りにされ、必要ならばその無限のエネルギーを発揮して自陣に戻り、守備の手助けもする。 確かに、レアル・マドリーの中盤のトリオの一角として同じ役割を与えることも考えられないことではなく、レアル・マドリーに加入した時に最も想定されていた役割であるとも言える。そうすればロドリゴは先発の役割から解放され、ヴィニシウスに得意な左サイドでのプレーのチャンスを与えられるかもしれない。だが、エンバペをサイドでなく中で起用することは最善策なのか。 エンバペがベルナベウでカリム・ベンゼマのようにゴールを量産できるだろうことは確実だが、ベンゼマと同じ役割を悠然と果たせるかどうかはわからない。25歳のエンバペは広いエリアから切りこんでくることの方がずっと得意だ。