【ネタバレレビュー】「スター・ウォーズ」史に残る凄惨さ…「アコライト」第5話、最初から最後まで衝撃しかない!
ディズニープラスで独占配信中の「スター・ウォーズ」オリジナルドラマシリーズ最新作「スター・ウォーズ:アコライト」。『スター・ウォーズ/ファントム・メナス(エピソード1)』(99)の約100年前、ジェダイの黄金期、 “ハイ・リパブリック”と呼ばれる平和が守られていた時代に起きた、ジェダイ連続殺人事件の謎に迫る物語だ。物語はいよいよ中盤!黒幕とされる赤いライトセーバーを振りかざす人物の正体が明かされる、注目の第5話をネタバレありでレビューする。 【写真を見る】あなたは予想できた?ついに明かされた仮面を被ったシスの正体! ※本記事は、ネタバレ(ストーリーの核心に触れる記述)を含みます。未見の方はご注意ください。 ■「スター・ウォーズ」ドラマ史上最大量のアクション! いったいなにから話し始めたらいいものか。この第5話は、とにかく情報量が多い。加えて、これまでのどのエピソードよりもアクションのボリュームも大きい。さらに、これまで以上に悲惨にして凄惨。次から次へと、衝撃の事実と衝撃の展開が連なるのだ。まさに、心を激しくかき乱されるエピソード。見終わって、まだ少々動揺しているが、そんなざわつきポイントを含めて、第5話を整理してみよう。 第4話は、メイ(アマンドラ・ステンバーグ)がねらう第3のジェダイ、ウーキー族のケルナッカ(ヨーナス・スオタモ)を追って惑星コーファーに降り立ったジェダイ騎士の一行の前に、赤いライトセーバーを持つ悪のジェダイ、すなわちシスが立ちはだかり、幕を閉じた。第5話は、その続きから始まる。強大な力を見せつけ、ライトセーバーひと振りでジェダイたちを吹き飛ばした仮面姿のシス。主人公オーシャ(アマンドラ・ステンバーグ)が目を覚ますと、ジェダイ騎士の死体が転がっており、生き残ったジェダイたちはシスに立ち向かっている。しかし、シスの力は圧倒的で、ジェダイは次々に倒されていく。見かねたオーシャがスタンガンでシスを攻撃するが、当然そんなものが通用するはずもない。 シスは攻撃の矛先をオーシャに向けるが、我らがジェダイ・マスター、ソル(イ・ジョンジェ)が阻止。彼は配下のジェダイ、ヨード(チャーリー・バネット)にいまや民間人であるオーシャを船に避難させることを指示する。そしてソルとシスの一対一のライトセーバーバトルへ。刀だけではなく、彼らは言葉でも駆け引きを演じる。ソルはシスの正体を突き止めねばならない。しかし、シスは「俺を覚えてないのか」と返す。壮絶な戦いのさなかにも、その言葉には今後のヒントが隠されているから、一語一句聞き逃すわけにはいかない。 もう少し、彼らのやり取りを紹介していこう。メイのフォースの師匠である仮面姿のシスに、ソルは「弟子に正体を隠すとは、どんな師だ」と言う。それに対してシスは「それをお前が言うのか」と反論。このやりとりをとっても、意味深ではないか。少なくともシスは、元ジェダイであるオーシャを指導していたころの、ソルのことを知っているようだ。 さて、もう一人のヒロインで、前話でシスを裏切ったオーシャの双子の姉メイは、亡きジェダイ、ケルナッカのライトセーバーを奪って逃走するが、ジェダイのパダワン(=弟子)ジェキ(ダフネ・キーン)が行く手をふさぐ。なにしろメイはジェダイ騎士を殺した重罪人。使命感に燃えるキーン扮するジェキと、強力なフォースを持つステンバーグ扮するメイのバトルがスタート。キーンの動きは、『LOGAN/ローガン』(17)の幼いながらも猛々しい少女、ローラで見せたほとばしる気迫のバトルシーンも彷彿させ、ステンバーグの身体能力の高さも際立っており、怒涛のアクションには思わず目を奪われる! ジェキはメイを捕らえることに成功するが、そこに現われたのが、メイの師である仮面のシス。ジェキは自前のものとメイから奪ったもの、2本のライトセーバーでシスに応戦。このシークエンスも、アクションの大きな見せ場だ。 ドラマの先を語る前に、この後のアクションについて触れておこう。ソルとシスはこの後、ライトセーバーではなく肉弾戦で再度一騎打ち。オーシャvsメイのフォース対決もある。わずか34分のエピソードで、これだけのアクションが詰まっているのは、「スター・ウォーズ」のドラマシリーズでも初めてかもしれない。 ■お前だったのか…明かされたシスの正体!その目的とは? ジェキとシスの対決に話を戻そう。仮面を脱がず戦い続けるシス。しかし、ジェキはその仮面を割ることに成功する。正体は、メイをこの星に連れてきた青年カイミール(マニー・ジャシント)だった!それだけでも、「えっ!?」と思うのだが、正体を知られたカイミールは瞬時にジェキに反撃し、彼女を殺してしまう!第4話でオーシャに対し優しい言葉をかけ、視聴者の好感度を上げたジェキが命を落とすのだから、これはショック!!さらに、前話までしばしば活躍を見せた若きジェダイ、ヨードもカイミールに首をひねられて絶命。これを凄惨と言わずして、なんと言おう? シスことカイミールの大虐殺により、この星で生き残ったジェダイはソルだけとなった。ソルとカイミールの禅問答をまじえたバトルはさらに続く。ソルが「名を名乗れ」と言えば、カイミールは「名などない。だがジェダイどもはシスと呼ぶかもな」と答える。ここまでの解説では便宜上、赤いライトセーバーを持つ者をシスと述べてきたが、「アコライト」の劇中で“シス”という単語が出てきたのは、これが最初である。 カイミールの望みは「自由」だと言う。「ジェダイに気兼ねなく俺の力を使える自由。俺自身の教え子(=アコライト)が欲しい」。これまた意味深な発言。さらにカイミールは言う「2人とも、“原点”に戻ったな」。この“2人”とはソルとカイミールを指すのだろうか? “原点”に戻ったのは彼らだけではない。メイとオーシャの姉妹もまた、子どものころのようにハグして和解したかに思えた。が、こちらも事は簡単に収まらない。かつてジェダイの教育を受けたオーシャはジェダイを正義、一方メイは「(ジェダイに)洗脳された」と語るなど彼らを悪と考えており、真逆の捉え方をしていることがわかる。なぜメイがそう思っているのか?という謎を残す問答だ。 メイとオーシャは互いを責め、「マスター選びを誤った」と言い合う。メイのマスターはカイミール、オーシャのマスターはソル。2人がなにを、どう誤ったのかは、この会話では明らかにされていないが、これは本シリーズの最大のミステリーであり、今後解き明かされだろう。 いやはや、ここまで語ってきただけで、情報量の多さは想像できるに違いない。しかし第5話はラストにも衝撃を用意している。フォースでオーシャを気絶させたメイは、長い髪を切り落として妹になりすまし、ソルの元へと向かう。一方、傷ついて気を失ったオーシャにはカイミールが近寄ってくる。マスターの逆転現象!?いや、これまたそう簡単ではないだろう。なにしろジェダイ殺しのメイの最終目標はソルの命を奪って妹を取り戻すことだ。しかし、その妹はカイミールの手に落ちようとしている。 とにもかくにも、ここまでの「アコライト」で、見終わってこんなにも腰が落ち着かなくなるエピソードはなかった。オーシャとメイ、ソルとカイミールの物語はこの後も二転三転するだろう。どんなゴールが待つのか?ハッピーエンドは訪れるのだろうか?悲劇として終わるのか? カイミールとの会話しかり、たびたびソルの過去に暗い闇のようなものが暗示されており、16年前にメイとオーシャの故郷ブレンドクで起きたことが関係しているのではと推察されるが、いったいなにが起きたのか?残るは3話。引き続きウォッチしていかないことには収まりがつかない。 文/相馬学