都会か地方か、総合大学と単科大学では… 大学選びで考えたいこと
高校生のうちに考える癖をつける
――大学受験を目指す高校生へ、アドバイスをお願いします。 濱田学長 これからは、ますます学び続けないといけない時代になります。高校生のうちに自分で考える癖をつけて、大学で多角的な思考ができるようになってほしいですね。AI(人工知能)が発展すれば、知識はいろいろな形で得られるので、やはり考えることが重要になります。AIが作った文章が正しいかどうかを判断するのは人間です。今以上に読解力や論理的思考が必要になってくると思います。大学選びでは、「この大学に行ったら、どれだけ成長できるか」という観点が重要です。どういうふうに成長したいかも考えて選んでいただければと思います。 加藤学長 濱田先生のお話と重なりますが、まずは自分の頭で考える癖、習慣をしっかりと身につけてほしいと思います。これからの社会はどんな課題が出てくるかわかりません。課題を見つけ、解決策を模索するときに、AIをはじめ情報テクノロジーの力を借りることも必要ですが、やはり自分の頭でとことん突き詰めて考えることが最も重要です。スキルとか知識はどんどん古いものになっていくので、その時々に必要なものを学び続けるしかありません。どういうスキルや知識が必要かは、自分で考えないといけないのです。 ――受験生の保護者に向けて、何かアドバイスはありますか。 濱田学長 大学の状況は親御さんの時代とはかなり変わっています。ですから、自分が受験した頃を基準にして判断してはいけないと思います。私は別の大学の繊維学部にいたことがありますが、学生が親から「なぜ繊維学部に行くのか」と聞かれたそうです。今は炭素繊維など新しい技術が開発されていますが、親の世代にとって繊維は斜陽産業だったからです。そういうギャップがあるので、今がどうなっているのか、よく見て、考えていただきたいですね。 加藤学長 私たちの大学の場合は、高校生が自分で調べてこの大学を見つけて、あるいは高校の先生から勧められて行きたいと言い出すパターンが多いです。知らない大学だからといって決めつけず、しっかりと情報を得て、親子で話し合いながら、子どもの選択を大事にしてほしいと思います。 プロフィル 濱田州博(はまだ・くにひろ)/公立諏訪東京理科大学学長。東京工業大学工学部高分子工学科卒、同大学院理工学研究科高分子工学専攻博士課程修了。工学博士。信州大学繊維学部教授、繊維学部長、副学長などを経て、2015 年に信州大学学長。23年4月から現職。専門は繊維染色化学、繊維機能加工学、高分子化学。 加藤敦子(かとう・あつこ)/都留文科大学学長。東京大学文学部卒、同大学院人文科学研究科(国語国文学専攻)博士課程単位取得退学。文学修士。ソウル女子大学校講師、東京経済大学講師、都留文科大学文学部国文学科教授、附属図書館長、副学長などを経て、2023年4月から現職。専門は日本近世文学。
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