都会か地方か、総合大学と単科大学では… 大学選びで考えたいこと
地元で活躍できる人材に
――どちらの大学も、県外から来ている学生が大半を占めるという共通した特徴があります。 加藤学長 都留文科大学は学生の86%が県外から来ていますが、卒業後のUターン率も高くて5割近いんです。とくに教員は72%、公務員は61%が地元に帰って就職しています。ですから、私たちは学生を4年間しっかりお預かりして、地元で活躍できる人材に成長させることに力を入れています。 実は地方の高校生には、東京の大学に行きたくないという人も少なくありません。都留市は富士山の麓にあり、湧水が大学のすぐそばを流れています。キャンパスの森にムササビが生息しているような、恵まれた自然環境の中で学ぶことができます。「大都市は人が多くて疲れるし、不安。都留市くらいの規模の町なら安心して生活できそう」と言って入学してくる学生もいます。 ――地域の中での大学の役割は、どんなところにあるのでしょうか。 濱田学長 地元が地方大学に求めるのは、人材の輩出です。私は学生と地元の企業が多くの接点を持つことが大事だと思っています。というのは、最近は就職のときに親御さんの意見が大きく影響します。親御さんの世代は大手志向が強いので、新卒では大手企業を選ぶ傾向がありますが、入社後にマッチしなくて転職する人も多いんです。その際、転職先として選ぶのが、学生のときに接点のあった企業ということがよくあるようです。転職して大学のある地元に戻ってくるわけですね。 もう一つ、地元が大学に求めているのは「知の拠点」としての役割です。大学は人と人が交わる場でもあります。大学の近くに別荘を持つ著名な学者が「何か貢献できないか」と言ってこられたこともありました。人が交わる場としての役割をさらに磨いていきたいと思っています。 加藤学長 一般的に地方の公立大学に求められているのは、地元に貢献できる人材の育成ですが、私たちの大学は全国から学生が集まってきて、また全国に散っていきます。行き先は海外でもいいわけです。人文系で人、言葉、文化などを学ぶには国際的な視野も重要なので、海外と積極的に交流しています。 フィンランドの教育を学びながら日本の教育を考えるなど、ヨーロッパを中心に世界の16の大学と提携して交換留学の制度を設けています。向こうからも留学生が来るので、多様なバックグラウンドを持つ海外の学生、地域の方々、そして本学の学生が、都留市にいながら交流できるのです。濱田先生がおっしゃった「知の拠点」であり、多文化、多様性を体験できる場としての大学です。