「自動駐車」システムが、日本の都市部で普及しない根本理由! 技術・空間・安全性の壁を考える
技術の進化と今後の展望
これほど多くの課題があると、自動バレーパーキングシステムの普及は難しいように思えるが、今後、センサー技術やAIがさらに進化すれば、システムの精度や安全性が向上する可能性が高い。 例えば、現在開発中の最新のセンサー技術が実用化されれば、車両の位置をより正確に把握でき、安全に駐車できるようになる。また、AIの自動学習能力が向上すれば、駐車がより迅速かつ正確に行えるようになるだろう。 実際、2019年にはパナソニック株式会社オートモーティブが自動バレーパーキングシステムの開発を発表した。このシステムは、「無人運転レベル4(高度運転自動化)」の実用化を前提としており、日本とドイツが共同開発した国際標準が発行されたことを受け、実用化は近い未来に実現しそうだ。 海外では、2023年にボッシュがドイツの大手駐車場運営会社アプコアと提携し、ドイツ・シュトゥットガルト空港をはじめ、ドイツ各地の駐車場でドライバーレスパーキングシステムの導入が始まった。この流れが日本にも波及するのは時間の問題だろう。 ショッピングモールやテーマパークの駐車場での利用はもちろん、 ・自動車メーカーの工場 ・モータープール ・港湾 などでは、「完成車自動搬送」の形で大きな活躍が期待できる自動バレーパーキングシステム。技術の進化や政府の支援を受けて、今後の普及が進むことを期待したい。
木村義孝(フリーライター)