レスリングアジア選手権で金メダルを獲得した東京五輪代表の川井梨沙子、友香子姉妹に新型コロナ余波はあったのか?
レスリングのアジア選手権の第4日が21日、インドのニューデリーで女子5階級が行われ、東京五輪代表の57キロ級、川井梨紗子(ジャパンビバレッジ)と、同じく東京五輪代表で62キロ級の川井友香子(至学館大)の姉妹が揃って優勝した。姉の梨沙子と、妹の友香子は、互いの首にかかる金色のメダルを手に取って見せ合った。そして、インド国旗と同じサフラン色のオレンジ、緑、白の3色の小さな石が埋め込まれた面を見せながら姉の梨紗子が、「インドカラーが入っているね。ちょっとかわいい」と微笑むと、妹の友香子もようやく硬さがとけてふわりと微笑み返した。 リオ五輪の金メダル以降、世界選手権を制覇し続け、国内では五輪4連覇の伊調馨を退けて東京五輪代表となった梨紗子の戦績をみると、向かうところ敵なしのように見える。ところが、アジア選手権のためにインド入りしてからは、「久しぶりの減量がある試合に緊張して」と、少し体調を崩していた。そのせいか、初戦のウズベキスタン戦は序盤の動きが硬く「反省点が多かった」が、準決勝となった二戦目のインドの選手との試合では打って変わりタックルからアンクルホールドをたたみかて、1分強でテクニカルフォール勝ち。決勝のモンゴル選手も同じく圧倒し、失点0で優勝した。 すべての試合を終え、表彰式を待つ控え席から友香子が決勝を戦う様子をみながら、こんなに緊張したのはなぜだろう、と3年前を思い出していた。 「3年前、同じこの会場でアジア選手権に出たときは、友香子はいなくて一人でした。自分の試合よりも、友香子の試合に緊張するんです。一人のときと比べて、姉妹一緒だと2倍緊張するんですが、そのぶん、二人一緒に優勝できたら、嬉しさも倍になります」 決勝のマットにあがったら「見てるよ!」と叫ぶ梨紗子の声が、はっきりと聞こえたという友香子は、初めての姉妹揃っての国際大会優勝がかかる試合に、慎重に向き合っていた。 「姉妹揃って決勝に上がった時点で、2018年の世界選手権のことを思い出しました。あのときは私だけ銀メダルだったから、次は二人で金メダルを取りたいという気持ちが強かった。決勝は、攻めに行くことを意識してやったんですけど、なかなか、自分の攻めができなくて。優勝はしたけれど、まだまだだと思いました。内容が悪かったんですけど、優勝できたのでよかったです」 そう言う友香子は世界王者のティニベコワ(キルギス)と初戦で対戦していた。2019年のアジア選手権、世界選手権と対戦し、2連敗している相手だ。「正直な気持ちを言うと、いきなり試合をしたい相手ではなかった。でも”神様からの試練だ”と受け入れられたから」、今回は集中して試合に挑めた。なかなか点数が動かないなか、試合終盤、リードされていたところから「後悔しないように試合をしたくて一か八かでかけたら出た技」が決まり逆転していた。