『紅白歌合戦』出場者発表で見えた…!「5つの傾向」から読み解くNHK&メディアの「ウラ」と「世間の本音」
「追加発表」への期待感は薄れている
3つ目の傾向は、出場歌手の選考内容。ここからメディアごとに切り口や解釈の違いが表れてくる。 最も多いのは、「紅白発表 復活組多数 THE ALFEEが41年ぶり2回目 イルカ32年ぶり GLAY25年ぶり」「氷川きよし、紅白の特別企画枠で復活!歌手活動休止から2年…復活後初のテレビ生歌唱『精一杯歌います』」などの出場ブランクに関する記事。 NHKにとって「○年ぶり」はメディアに扱われやすく、人々に「この人が出るのか」という期待感を抱かせやすいポイントであり、選考の中でも特に「ひさびさの誰にオファーするのか」は慎重に選んでいるという。また、ベテランアーティストが多いのは、近年の「若い人ばかり」という批判へのガス抜きもありそうだ。 選考内容のトピックスで次に多いのが、「紅白歌合戦 昨年と顔ぶれ大幅に変更 16年連続のPerfumeら計22組の名前なし」などの“選考漏れ”に関する記事。長年出演していたアーティストの扱いに加えて、どう見ても目玉になりそうなYOASOBIが漏れたことをトピックスにする動きもあった。 ただ、「【紅白歌合戦】企画枠などでの追加を示唆『組数は合うように交渉続ける』制作統括の大塚信広氏」などの記事も多かったように、制作サイドには“追加発表”という戦略がある。「放送が近づくにつれて数組の大物出演を追加発表していく」のがNHKの定番戦略であり、メディアとしては「現段階で選考漏れと言い切れない」という難しさがあるのは確かだ。 一方、視聴者サイドとしてはこの追加発表に慣れてしまった感があり、メディアも追加発表の効果が薄くなったことに気づいていて、近年は第一報ほど大きく報じない。今年も桑田佳祐、松任谷由実、北島三郎らがステージにそろい踏みした2018年くらいの特別感を醸し出せなければ期待感を上げて大みそかを迎えることは難しいだろう。 それでもこの数ヵ月、業界周辺を取材した限り、「紅白歌合戦に出たい」というアーティストや関係者は多かった。当事者たちの特別感は変わらず、なかでも『うたコン』(NHK総合)に出演するなどNHKへの貢献度もあるアイドルのFRUIT ZIPPERや超ときめき宣伝部は業界内外で期待感があり、それなりのショックがあったのではないか。