橋から女性転落、近くで釣りの外国人5人が救助劇 来日3カ月の実習生「国違っても助け合う気持ちを」
滋賀県野洲市で10月、来日3カ月あまりのインドネシア人技能実習生5人が、橋から川に転落した60代女性を救助し、警察から感謝状を贈られた。「会社で助け合うことを教わっていた。助けただけなのにここまでしてもらえてうれしい」と救助劇を振り返った。 【写真】女性が転落した現場 表彰を受けたのは、ダイハツ工業滋賀(竜王)工場で自動車組み立て作業に従事するアフマド・ジャエラニさん(25)、アナン・ドウィ・ビントロさん(26)、アリヨ・サンタリさん(22)、フェルディ・ジャヤ・クスマさん(25)、ヌル・ファジュリ・アグスティアンさん(25)の5人=いずれも野洲市。8月に来日した。 事故が起きたのは、10月14日午後1時半ごろ、野洲市の近江富士大橋から15メートル下の野洲川に60代女性が転落した。このとき5人は、川で釣りの準備をしており、ヌルさんは「『あー』という声と大きな水の音が聞こえた」と振り返る。 フェルディさんとアリヨさん、アフマドさんの3人が救助に向かい、ヌルさんとアナンさんが近くにいた小学校の教諭に声をかけ、スマートフォンの翻訳機能を使って救急車の要請と110番を依頼した。 女性はうつぶせで、引き上げた時は意識があったという。日本語で「痛いところありますか」と呼びかけたが会話ができない状態だった。約20分で救急車が到着、女性は骨折するなどの重傷で病院に搬送されたが、命に別条はなかった。 実習生5人は同期入社で、普段から買い物や釣りを楽しんでいるという。1日に滋賀県警守山署で感謝状を受け取り、ヌルさんは「国が違っても助け合うという気持ちを持ち続けたい」と話した。アナンさんは母国の家族に伝えたいといい、「良いことをした」と反応があったという。 ダイハツ工業の担当者は「日常生活で困っている人を見かければ率先して助けてあげなさい、という指導を受け、いち早く救助にあたってくれた」と高く評価した。