山本昌がセンバツで力投した12投手を解説 中日で一緒にプレーした投手の息子の評価は?
小川哲平(作新学院/184センチ・96キロ/右投右打) 守備の乱れもあって初戦で敗れてしまいましたが、素材としてのよさは十分に感じられました。たくましい体が特徴的で、軽い力感で投げているのにボールには球威がある。立ち姿や体の強さは、高い将来性を感じさせます。甲子園では立ち上がりから抜ける球が目立ちましたが、体重移動する方向が少しバラける印象がありました。ホーム方向へ真っすぐに体重移動したうえで、腕の振りのタイミングを安定させたいですね。今は左肩が引けて、胸が早く打者に見えてしまうシーンが見られます。この点が噛み合ってくればもっとコントロールがよくなるはずですし、抜け球が減るはずです。
伊東尚輝(愛工大名電/182センチ・78キロ/右投右打) 愛工大名電といえば、昨夏の甲子園でも投げた左腕の大泉塁翔くんが記憶に残っていたのですが、こんな速球派右腕もいたのかと驚きました。投球のリズム感がよく、右腕を縦に振れてボールに角度があります。フォームに大きな欠点が見当たらず、なかなか完成度が高いと感じました。独特のリズム感は長所である一方で、軸足を折るタイミングが早すぎる場面も多かったように見えました。捕手方向に体重移動しながら自然と軸足が折れる形にできれば、左肩がもっと前に出てくる投げ方になります。高めに集まりがちなボールが低めに集まるようになり、投手としてもう一段レベルが上がるでしょう。
洗平比呂(八戸学院光星/178センチ・80キロ/左投左打) お父さんの竜也さんは現役時代に中日で一緒にプレーした元チームメイトでした。お父さんもボールの速い左投手でしたが、息子さんも球が速いし、まだまだ伸びしろがありそうです。1年夏の甲子園で愛工大名電戦に先発して、5回1失点(自責点0)と好投した時から注目していました。捕手に向かって真っすぐにラインをつくれるフォームで、コントロールには苦労しなさそうです。おそらくステップする右足を突っ張る点を指摘され続けてきたのではないかと想像しますが、私は問題とは思いません。むしろボールの角度をつくり出し、変化球の曲がりのよさにもつながっているように見えます。これから体をつくっていけば、常時140キロを超える投手になりそうですし、楽しみです。