会社が倒産して「奨学金」を返せなくなりました。このままだと「滞納」してしまうのですが、なんとかする方法はないでしょうか?
突然の会社倒産で収入が途絶えると、奨学金の返済は困難になります。貯金があるならしばらくは補填できますが、新卒の人や収入を貯金に回せる余裕のない人は、返済できません。 そんなときのために、奨学金には「返還猶予制度」と「減額返還制度」という救済措置が用意されています。再就職がしばらく難しそうなら、上記の制度を申請して時間を稼ぎましょう。 ▼「大学無償化制度」の対象者とは? 年収要件や注意点を解説 今回は、奨学金の返済が難しくなった方に向けた「返還猶予制度」と「減額返還制度」を紹介します。
奨学金が返せなくなったら「返還期限猶予」「減額返還制度」を申請しよう
奨学金の返済が困難な場合に利用できる救済制度として「返還期限猶予」と「減額返還制度」があります。本制度は日本学生支援機構(JASSO)が提供しており、予期せぬ収入減や失業時など、しばらく返済ができない人が対象です。それぞれの特徴は、表1の通りです。
出典:独立行政法人日本学生支援機構「月々の返還額を少なくする(減額返還制度)」「返還を待ってもらう(返還期限猶予)」より筆者作成 いずれの制度も申請には特定の条件を満たす必要があり、承認には審査が必要となります。
返還期限猶予とは
返還期限猶予は、経済的な困難により奨学金の返済が難しい場合に限り、一時的に返済を猶予する制度です。本制度では、最長10年間の返済猶予が認められます。適用の具体的な条件は、主に以下の通りです。 ・返済者本人の年収が一定基準を下回る ・災害や病気といったやむを得ない理由で失業または収入が減少した ・現在返済が困難な状態であること なお詳細な条件や必要な証明書類は、申請事由によって異なります。今回の場合は倒産による失業のため、「離職前の年収が300万円以下(給与所得者以外は200万円以下)」「失業後6ヶ月以内」が主な条件です。
減額返還制度とは
減額返還制度は、収入が大幅に減少した場合に、月々の返済額を減らせる制度です。通常の返済額の半分まで減額でき、最大15年間の延長が認められます。主な適用条件は以下の通りです。 ・年間収入が400万円以下(給与所得者以外は300万円以下) ・経済的な理由により奨学金の返還が困難な状態にある ・減額すれば返還できる なお延長期間は1回の申請につき1年です。仮に15年間適用するなら、毎年申請する必要があります。ただし期間中に収入のめどが立って適用条件を満たさなくなった場合は、元の返済額に戻る可能性があります。