MF中村敬斗(スタッド・ランス)(Kaoru WATANABE/GEKISAKA)

[6.6 W杯2次予選 日本 5-0 ミャンマー ヤンゴン] 　日本代表では初めてのウイングバック起用で見事に結果を出した。MF中村敬斗(スタッド・ランス)は0-0で迎えた前半17分、MF鎌田大地(ラツィオ)からのロングパスを受けると、迷わずドリブル突破をスタート。そのままゴール前に持ち上がり、最後はロングスプリントの影響を感じさせない持ち前のシュートセンスで、強烈な右足シュートをニアポスト脇に突き刺した。 【写真】「マジで美人」「可愛すぎてカード出る」現地観戦した女子アナに称賛集まる 　マーカーのいない状態から攻撃を始められるという、ウイングバックのメリットを最大限に活かした先制点。試合前にはフライブルクで同じポジションを務めるMF堂安律から「大外はスペースがあるので逆サイドからフリーでもらえる」とアドバイスを受けていたといい、中村は「1点目はまさにそういう形でもらえて点が取れた」と感謝を口にした。 　またこの日はゴールシーンだけでなく、ウイングバックでプレーした62分間を通じて縦に仕掛ける姿勢が際立っていた。 　中村によると、前がかりなパフォーマンスはリーグ・アンで取り組んできた努力の成果。「持ったら仕掛けるというのはフランスリーグで磨かれた。簡単な1年じゃなかった」「ウイングとして生き残るには中に入るだけじゃダメ。タイミングを見て縦に行く回数を増やしていた」。そこでの課題はアジア杯でも感じたものだったという。 　アジア杯ではMF三笘薫が開幕に間に合わなかった左ウイングの主力として大会に臨んだものの、敗退に終わった準々決勝のイラン戦ではスタメン落ち。本職ではないFW前田大然が先発で起用され、負傷明けの三笘がジョーカー起用されたことで、出番のないまま試合を終えていた。 「イラン戦の前のバーレーン戦で個人的に良くなかった。あれでスタメンを外れたのは仕方ないと思ったし、三笘選手が帰ってきたので途中から流れを変えると分かっていたので、出なかったことには悲観はしていなかった。でもバーレーン戦で良いプレーをできていたら出られていたかもしれない。アジア杯後は成長しないといけないと思った」 　そうした能力を突き詰めるにあたって、サイドの1対1がキーポイントとなるリーグ・アンは格好の舞台。「アジア杯で感じた縦突破の壁みたいなところはフランスでこの半年すごく意識してきて、自分の中で成長していたと思うので、今日は出せて良かった。フランスリーグは1対1、個の強いリーグだと思うし、普段から対人の強い相手とできていて、自分の中でも成長を感じられたので嬉しい」と手応えを口にした。 　またウイングバック特有の上下動にも「守備のところは最終ラインまで戻ることもあったし、ロングスプリントになることもあったけど、そこも含めてウイングバック。できる幅が増えたかなと思うと嬉しい」としっかりと適応。その上、蒸し暑く消耗しやすい気候の中、後半17分からは左シャドーに移ってピッチに立ち続けた。 　そして後半アディショナルタイムにも、強烈なミドルシュートでダメ押しゴール。得点シーンについては「パスをくれたので打っただけ。得意な形なので」とさらりと振り返り、A代表通算9試合8ゴールという結果にも「あまり何点取ったというのを気にしていなかった」と控えめだったが、結果以外の側面にフォーカスされがちな複数ポジション起用で、結果まで手繰り寄せたことの価値は大きかった。 　それでもなお、中村は地に足をつけて努力を重ねていくつもりだ。三笘を脅かすような結果を出しながらも、「申し訳ないけど相手のクオリティーがそんなにハイレベルでなかったし、薫くんは相手がスペインでもドイツでもあのクオリティーを出せる。まだまだ比較されるような立場じゃない」ときっぱり。「どんどん成長したい」と継続を誓っていた。