【実は家族を傷つけている言葉】「健康のために老いた親に外出してほしいとき」ケンカにならない親子がしているコミュニケーションとは
「歳をとった親が言うことを聞いてくれない」。誰もが一度はこんな経験をしているのではないでしょうか。「親がいつまでも自分のことを若いと思っている」「病院ギライがなおらない」「お酒の量が減らない」などその悩みはさまざまです。親のことを思って言ったのにもかかわらず、いつも喧嘩になってしまうのは、実は伝え方に問題があります。そんな問題を解決すべく、『歳をとった親とうまく話せる言いかえノート』が発刊されました。本記事では書籍の一部を抜粋してお届けします。 ● 健康のために老いた親に外出してほしい 老いた親へのNG声かけ例「×たまには外に出たら?」 老いた親へのやさしい声かけ例「新しいお店がオープンしてるの知ってた? すごい行列が出来ていたよ!」 「たまには外に出たら?」これは家から出ずにずっと座っている、あるいはテレビの前から動かないといった親の様子を心配しての声掛けです。親の健康に注意を払っているからこその思いの詰まった提案だと思います。 真心からそのまま出ている言葉で、なんの裏も飾りもない親子の会話だと言えますが、ストレート過ぎて少し事情が違ってきてしまう場合があります。もう一歩引いた視点からの言葉にできるとよりよいかもしれません。 老いた親が、家から出たがらないのはなにか原因があるはずです。たとえば、実は私たちが知らない、親の身体的、精神面的な何らかの変化や問題が発生していて、自発的に出かけられない状態に陥っていたり、外見的に大きな変化が認められなくても、高齢の親の場合、気持ちの不調などが生じていても不思議ではありません。 また、私が見たケースでは些細なことが原因でご近所さんと揉めてしまい、引きこもりになってしまった例もあります。親の数だけ、それぞれに異なった事情があります。もし私たちがそれら事情を把握することなく、子どもから出かけろと言われたら、「そうは言ってもむずかしい」と、心を閉ざしてしまうでしょう。