【実は家族を傷つけている言葉】「健康のために老いた親に外出してほしいとき」ケンカにならない親子がしているコミュニケーションとは
● 子どもからの「親切心」を誤解されないように伝える 「たまには外に出かけたら?」この言葉の本来の目的は、「(お父さん・お母さんのことが)心配だよ。気分転換に外の空気を吸い、歩くことで全身の血流が改善し体が整うよ」だと思います。 この提案は医学的にもほとんど議論の必要がないほど正しい提案です。 とはいえ、先ほどのように、親の状態すべてを把握しているわけではないので、場合によっては、誤解を生じさせてしまいます。そうすると「おちおち家にも入れないのか」や「子どもに家から追い出される」などと言われてしまい、怒りの矛先が皆さんに向いてしまいます。 加えて、皆さんまで「親切心で言ってるのに」と感じてしまったら、親子関係の悪循環を生み出してしまいます。 そこでOKの例では、「新しいお店のオープンしてるの知ってた? すごい行列が出来ていたよ!」と言ってみました。この言葉の肝は「近所の新規オープン」という情報に親が興味を示すのか、無反応なのか反応を観察するのが目的です。 興味を示すようであれば、「明日一緒に行ってみない?」などと提案が出来ます。無反応であれば、「どうしたの?どこか具合でも悪いの?」と深堀をするような質問をしても違和感がありません。その結果、「実は......」などの親からの情報開示が得られれば大成功です。 今回のポイントは、いきなり直球の言葉を使わないということです。「健康の為に歩きなさい」のような言い方は命令として受け止められてしまいます。かといって「どうかしたの?」といきなり聞くと今度は尋問のようになってしまいます。 そのため、あくまでも親を主体とした、自発的な回答を引き出すようにするのがポイントです。血のつながった親だからこそ、コミュニケーションは1つずつ丁寧に行うのがいいでしょう。結論だけ伝えるとケンカになってしまうケースも少なくないですから要注意です。
萩原礼紀