子どもたちにこそ、フォードフォワードを届けたい

悩めるねずみのミックに具体的なアドバイスをするのではなく、ミック自身の本当の気持ちを引き出す太陽の言葉かけは、子どもに接するすべての大人に大きな気づきを与えるはずです。『ほんとうは、どうしたいの？　ミックをかえた　たいようのことば』

いつもはエグゼクティブへのコーチングを行い、ビジネス書を手がけていますが、子どもたちにこそ未来思考であってほしいと考えています。 2018年、私は「フィードフォワードカード」を使って、幼稚園児や小学校低学年の児童に「フィードフォワード」を実践してもらいました。 園児が相手ですから、「どうなりたいか」という抽象度の高い問いではなく、「ふゆやすみにはなにがしたい？」とか「じょうきゅうせいになったらどんなことをしたい？」といった問いを用意して臨んだところ、園児・児童たちは未来思考でいきいきと「未来」を語ってくれました。それは想像以上でした。 また、「フィードフォワード」をテーマにした絵本『ほんとうは、どうしたいの？　ミックをかえた　たいようのことば』(由美村嬉々〈文〉、すみもとななみ〈絵〉、久野和禎〈監修〉)の監修も手がけました。読み聞かせをしながら、親子で自然に「フィードフォワード」が身につきます。 「フィードフォワード」は先述したように「どうなりたいか」を問うことが基本ですから、難しくありません。 少しコツさえつかめば、大人だけでなく、子どもでもすぐに実践できるようになります。もっといえば、私たち大人よりも多くの可能性をもっている子どもたちにこそ身につけてほしいコミュニケーション手法です。 最後に私の息子の事例を紹介したいと思います。添付の写真は、手術を40日後に控えた妻に、当時5歳の息子が投げかけた「フィードフォワード」です。 「まま、なにになりたいの」 手術前の妻は「手術はうまくいくのか」「術後の回復は大丈夫か」「再発のリスクはどのくらいなのか」といったことで頭がいっぱいだっただろうと思います。それでも、息子からのメッセージによって、きっと「未来」に思考を向けることができたのではないかと私は想像しています。 子どもも大人も日常的に「フィードフォワード」ができるようになれば、世界はもっとよくなります。 大人も子どもも夢を語り、リアリティをもって未来を思い描き、目標を達成しながら生きていけるような世界の実現にフィードフォワードがお役に立てたならこれ以上の喜びはありません。