小泉進次郎氏「無理して大学行くな。例えば田舎の旅館の従業員とかになればいい」と発言? まとめサイトによる歪曲【ファクトチェック】
自民党総裁選に立候補している小泉進次郎氏が「無理して大学行くな。例えば田舎の旅館の従業員とかになればいい」と発言したかのような言説が拡散しましたが、不正確です。2024年9月16日の討論会での小泉氏の「大学に行くのが全てじゃない」という発言を歪曲しています。
検証対象
2024年9月18日、自民党総裁選に立候補している小泉氏が「無理して大学行くな。求められているところはいっぱいある。例えば田舎の旅館の従業員とかになればいい」と発言して炎上したとする言説が拡散した。投稿には、まとめサイト「NewsSharing」のリンクがある。 9月19日現在、この投稿は1.7万件以上リポストされ、表示回数は854万件を超える。投稿について「悪気なく本気で思ってそう」「国民を馬鹿にしすぎ」というコメントの一方で「全文読むとだいぶ印象が違います」という指摘もある。
検証過程
まとめサイトの記事は、2024年9月16日にスポニチがYahoo!ニュースで公開した記事を参照元にしている。 このスポニチの記事は、自民党総裁選の立候補者9人による9月16日の金沢市での討論会を報じている。その中で小泉氏が「大学に行くのがすべてではない」などと発言したと書いている。 討論会の内容は共同通信のYouTubeチャンネル「KYODO NEWS」で確認することができる(【詳報】9候補、災害対応など討論 金沢で党青年・女性両局主催)。 引用されている小泉氏の発言は1時間34分35秒頃だ。「40歳まで返済が続く中で本当に結婚や子育てができるのか不安な声が上がっている」という質問に対して、小泉氏は以下の様に発言している。 「奨学金だけではなくて、私は、教育のあり方を変えたいと。大学にいくのが全てじゃないです。これからの時代、求められているところはいっぱいあります。今日も和倉温泉、加賀温泉、その旅館やホテルの関係者と意見交換しました。今、日本食の料理人の数が足りなくて困っています、旅館とか。そして、そうした手に職をつければ、遜色なく稼げるようなキャリアが作れます。教育の多様化、高専の強化、こういうことも抜本改革でやっていきたいと思います」 つまり、「無理して大学行くな」などとは発言しておらず、「教育の多様化」「高専の強化」などを通じて、大学だけではない様々な選択肢の充実を目指している。 小泉氏は、そのほかにも「誹謗中傷やセクハラなどへの対策」などのトピックについて意見を述べているが、動画全体を通して「無理して大学行くな。例えば田舎の旅館の従業員とかになればいい」という発言はしていない。