「ぶっちぎりで速かった」世界ラリー唯一の日本人を覚醒させた“クラッシュ” 32年ぶり優勝へ雪辱誓う「昨年以上にスピードある」
WRC(世界ラリー選手権)のトップカテゴリーで、日本人唯一のフル参戦ドライバーとなる勝田貴元が、21日から開催される「ラリージャパン」を前に、ターニングポイントとなった昨年大会の悔しいクラッシュに言及。その意外な舞台裏と今大会へ懸ける想いを明かした。 【映像】覚醒させたクラッシュの瞬間 愛知県出身の勝田にとって母国凱旋となる「ラリージャパン」は、今年も愛知県と岐阜県を舞台に開催される。ABEMAのインタビューに答えた勝田は「自分が生まれ育った場所ですから、少しでも多くいい走りを見せたい」と気持ちは高まっている様子だが、ファンにとっても期待は膨らむ。 2023年の「ラリージャパン」では結果的に10ステージでトップタイムを叩き出す活躍を見せた勝田。しかしそのきっかけとなったのはSS(スペシャルステージ)2でのクラッシュだったという。SS2は天候に恵まれず大雨のなかの走行となったが、マシンが路面の水に乗って浮いてしまうハイドロプレーニング現象が発生し、コーナーを曲がれきれずコース脇の木立に激突してしまった。しかし、勝田によれば、「エンジニアからはぶっちぎりで速かったと言われました。だから、もうすこしペースを落としてでもトップは取れる」と、このクラッシュが契機となり、勝田は感覚を掴んだのだという。 トヨタチームのフル参戦ドライバーとなった2024年ここまでの戦いを振り返ると、第3戦「サファリ・ラリー」では激走のすえ、総合2位を獲得。これは勝田にとっては自己最高タイの記録で、いいシーズンのスタートを切ったはずだった。 しかしその後、第5戦「ポルトガル」、第6戦「イタリア」と自身のミスやマシントラブルが続き、「ここまでうまくいかないことあるんだなと。なんとかしなきゃいけないという思いが焦りにつながった」と一時期は落ち込んだ勝田。その思いが実り活躍したのが、第12戦「セントラルヨーロピアンラリー」だ。SS17でステージウィナーに輝くと、日曜日の合計タイムを争う「スーパーサンデー」で首位、パワーステージでもステージウィン。合計22ポイントを獲得した。 「ラリージャパン」は製造者部門でトヨタが逆転での4連覇、そして勝田が勝てば、自身初&篠塚建次郎氏以来32年ぶりのWRC日本人ドライバー優勝となる。「全力を尽くして優勝を目指していきたい。昨年以上に(マシンに)スピードもあるので、焦らず地に足をつけてラリーを組み立てられれば結果はついてくる」と昨年の雪辱を誓った。勝田は21日のシェイクダウンで全体5番手のタイムを記録。この後、豊田スタジアムで行われる21日19時5分開始のSS1に挑む。 (ABEMA『WRC 世界ラリー選手権 2024』/(C)WRC)
ABEMA TIMES編集部