<春に挑む2024・神村学園「主役」紹介>/上 投球に自信、受ける自覚 /鹿児島
何もできなかった。2023年夏の甲子園2回戦の市和歌山戦、先発マウンドに上がった左腕・今村拓未(たくみ)(2年)は最初の打者こそ三振に仕留めたが、3四死球を出し既に20球。一回を投げ切れなかった。休んでもらうはずの先輩エースにマウンドを譲った。 【写真で見る歓喜の瞬間】歴代のセンバツ覇者たち 「甲子園の借りは甲子園でしか返せない」と自ら言い聞かせた。九州地区大会はエースとして今度は自分がチームを夢舞台に導いた。県予選準々決勝と決勝で完投し、九州大会準々決勝では完封した。 最速141キロのストレートにカーブ、スライダー、フォーク、カットボールを交えた多彩な投球。冬にウエートトレーニングを重ね、体重も約5キロ増え、球が伸びるようになった。「絶対に打たせない」と自信をみせる。 その球を受ける捕手が木下夢稀(ゆめき)(同)。「考えを押しつけず、今村の考えを聞いてリードする」との姿勢だ。 打順は7番だが、九州地区大会では予選含めチームトップの三塁打2本、二塁打4本、10打点。打率はチーム3位の4割7分6厘と打ちまくった。6~8番打者の“第2クリーンアップ”の中核を成す。「粘りと広角打法が持ち味。とにかくランナーを還そうと打席に入っている」。守備、打撃とも要の自覚は十分だ。【梅山崇】