電力の分離、見えぬ実現 再発防止策提出から1年
大手電力が新電力の顧客情報を不正閲覧した問題で、各社が再発防止に向けた業務改善計画を提出して12日で1年となる。問題の発端となった関西電力は組織風土改革を急ぐが、根幹には大手電力がグループ内で同業他社の顧客情報を保有する特異な状況がある。国は情報を持つ送配電子会社との資本関係を完全に切り離す「所有権分離」を検討するが、各社の同意は得られず実現のめどが立たない。 関電は、子会社と一体だった情報のシステムを約5年かけて分離する取り組みを開始。顧客情報の管理を厳格化する計画だ。 関電は2022年12月、営業担当の社員らが子会社「関西電力送配電」のシステムにアクセスし、関電以外の新電力と契約している一般家庭の顧客情報を不正閲覧していたと発表。東北、中部、中国、四国、九州、沖縄の各電力でも同様の行為が判明。経済産業省は関電や中国電の子会社など5社に電気事業法に基づく業務改善命令を出した。 経産省は各社の業務改善の取り組みについて評価を進めており、6月末をめどに採点結果を公表する見込み。