<私の恩人>たむけん、究極の目標は間寛平
「アースマラソン」中も、よく電話をもらってたんですけど、毎回僕に聞いてくるのが「『テンダラー』は大丈夫か?」ということやったんです。その当時「サバンナ」はもう売れ始めてたんですけど、正直「テンダラー」はまだしんどい時期やった。だから、電話の度に僕に「テンダラー」の近況を聞いてくるんですけど、…僕からすると、「あなた、もっと大変なことの真っただ中やないか!!」と(笑)。まさに、命がけでチャレンジをしている時でも、その調子なんですよね。 ただね、1回だけ、寛平師匠に諭されたことがあったんです…。今から10年ほど前、何人かの若手と話をしてて、病気で病院から出られへん子供たちのために小児病棟に行って、ボランティアでコメディーをやらせてもらえたら、という話になったんです。 そこで、寛平師匠に「こんなことをしようと思ってるんですけど」と相談をしてみたら、「やめとけ」と言われたんです。正直な話、寛平師匠なら「おう、エエ話やがな。オレも出して!!」みたいな話になるかなと半分予想しながら相談したんですけど、真逆の答え。面食らってる僕に寛平師匠が続けた言葉が「それをやろうという心は大事なことや。ただ、それを一生やり続ける覚悟があるか?今はまだ仕事もそんなにないし、時間も取れる。でも、お前がこの先忙しくなっても、それができるか?1回、2回やって自分が満足してやめるとか、忙しくなったからやめるということでは子供たちに悪いし、もっと深く考えてやりなさい」と。 寛平師匠に言われてやらないのは犯罪だけ!それ以外は何でもやる。それは断言できます。「自分じゃなくて、まずは人」。それを体現してくれてる寛平師匠みたいな人間に、いつかなれたらと思ってるんです。 …こんな話ばっかりしてたら、あたかも寛平師匠がめちゃめちゃ思慮深い賢者みたいになりますよね?ま、ちょいちょいこんなこともあるというだけで、ほとんどは“野性の勘”だけで動いてはります(笑)。 (聞き手・文/中西正男/株式会社KOZOクリエイターズ) ■たむらけんじ 1973年5月4日生まれ。大阪府阪南市出身。大阪NSC11期生。同期には陣内智則、ケンドーコバヤシ、「中川家」らがいる。92年にお笑いコンビ「LaLaLa」を結成するも、99年に解散後はピンとして活動。2006年に自らがオーナーを務める「炭火焼肉たむら」を開業。「焼肉たむらには、オバケが出る」「一番おいしい肉はウインナー」といったケンドーコバヤシらによる愛あるイジりも奏を功し、芸人と社長、両方の顔を持つ実業家芸人としてブレイク。イベント「TKF PARTY」(8月20日、大阪・なんばグランド花月)には「テンダラー」、「チュートリアル」、三浦マイルド、ゲストのmisonoら約40組が出演。10年以上ネタを書いていないたむらが、イベント内で上演される約1時間のコメディーの台本を手がけることでも話題を呼んでいる。 ■中西正男(なかにし・まさお) 1974年、大阪府生まれ。大学卒業後、デイリースポーツ社に入社。大阪報道部で芸能担当記者となり、演芸、宝塚歌劇団などを取材。2012年9月に同社を退社後、株式会社KOZOクリエイターズに所属し、芸能ジャーナリストに転身。現在、関西の人気番組「おはよう朝日です」などに出演中。