<私の恩人>たむけん、究極の目標は間寛平
一応、寛平師匠に「普段のアドリブたっぷりの芝居ではなく、しっかりとセリフを覚えてもらって、いつもはやらないようなコントをしてもらう」というコンセプトはあったんです。ただ、ま、言うても、一番の目的は寛平師匠の名前をお借りすること。僕らが利用させてもらうばっかりで、ハッキリ言うて、寛平師匠には何のメリットもない。 しかも、当時の寛平師匠は今以上に全国を飛び回ってお仕事をしてて、むちゃくちゃ忙しかった。それでも、お願いしたら、細かいことは何も聞かず「分かった。やるわ」と快諾。しかも「出るけど、ここはこうさせてくれ」みたいなことも一切ナシ。「お前らが、やりたいようにやったらエエからな」とだけ言って参加してくれたんです。 何て言うのか、優しさ、器の大きさ、男らしさ…。そういうのを全部ひっくるめて、何倍にも大きくしたような感じというんですかね。しょっぱなからそうでしたけど、寛平師匠といると、そういうことをこれでもかと見せてくれるんです。 山ほどある話のうち1つを挙げると、「宇宙ターザン」のけいこ中、お腹が空いたし、雨も降ってるから外に食べに行くのも大変やし、ピザを取ろうとなったんです。ま、当然、寛平師匠がお金を払ってくれるんですけど、確か、お会計が6000円くらいやった。寛平師匠が1万円で払おうとしたんですけど、配達のお兄ちゃんの顔が引きつってるんです。お店から、おつりを持ってくるのを忘れてしまったと。そしたら、寛平師匠が「そうか、そうか。ほんなら、店に怒られたらアカンから、もう店には何にも言わんと、おつりは兄ちゃんが取っときや」と、サラッと1万円を渡したんです。 そこで4000円をチップ的に渡す太っ腹さがすごいということではなく、お兄ちゃんが怒られたらかわいそう、雨の中取りに帰らせるのも気の毒、僕らを含めたその場の空気を悪くしたらアカン…。いろいろな意味合いが重なった優しさというか、それをスッとやる大きさというか。 寛平師匠のおかげで「宇宙ターザン」は単発イベントじゃなく、何回もやらせてもらえるイベントになって、DVDを出せるまでになった。イベントをきっかけに、公私ともにお世話になるようになったんですけど、そうこうしているうちに、寛平師匠がヨットとランニングで世界一周するアースマラソン(2008~2011年)に出発されました。