「生活保護」の支給額はどのように決まっている? 基準額が年金や最低賃金よりも高いって本当?
生活保護は、生活に困窮している国民に対して、最低限度の生活を保障するために設けられた制度です。 資産の活用もしたうえで最低生活費よりも収入が下回っている場合は、働いていたり年金収入を得ていたりしていても、生活保護の受給対象になる可能性があります。 今回は、生活保護費の求め方や、年金と最低賃金との比較などをご紹介します。 ▼「生活保護」の受給要件とは? 親族への扶養照会は必須なの?
生活保護費の求め方
生活保護で支給される金額は、最低生活費を基に決められます。世帯収入と最低生活費を比べて、最低生活費を下回っている分が生活保護費として支給されます。 最低生活費は、地域ごとに分けられた「級地」と年齢から計算され、以下5つの金額を足した金額が最低生活費となります。 1. 生活扶助基準(第1類)に、逓減率をかけた金額 2. 生活扶助基準(第2類)の金額 3. 生活扶助基準の合計値に特例加算1000円と生活扶助本体における経過的加算を足した金額 4. 児童を養育していたり障がい者がいたりなど特定条件を有する世帯への加算額 5. 住宅扶助基準、教育扶助基準、介護扶助基準、医療扶助基準の合計額 例えば、65歳の単身世帯で、1級地-1に住んでおり5万円の家賃が必要の場合、最低生活費は12万6880円です。 級地や年齢ごとの基準額は、厚生労働省のホームページに掲載されている「生活扶助基準額について」より確認できます。なお、特例加算は令和5年10月からの措置です。
年金や最低賃金よりも高い?
年金や最低賃金と生活保護費のどちらが高いかは、生活保護を受けている地域や最低生活費によって変動します。今回、年金受給額と最低賃金、そして生活保護の金額を比べるにあたって、条件は以下とします。 ・年金額は厚生労働省の令和4年度「厚生年金保険・国民年金事業の概況」内に記載されている老齢基礎年金と老齢厚生年金を合わせた平均受給額とする ・最低賃金は、厚生労働省で公開されている令和4年時点の全国平均とする ・最低賃金の計算は実働8時間を週5日、4週間働いた場合とする ・生活保護費は、生活扶助基準額のみとする ・生活扶助基準額は、東京都品川区のホームページで公開されており、令和5年9月30日までの金額として例示されている65歳高齢者単身世帯の金額とする 条件を基に、それぞれの金額を表1にまとめました。