【もつ焼きソバ】ラストオーダー間際に滑り込んだ酒場にて、生まれて初めての麺を使った絶品おつまみ焼きそばに出会う:パリッコ『今週のハマりメシ』第144回
ある日、あるとき、ある場所で食べた食事が、その日の気分や体調にあまりにもぴたりとハマることが、ごくまれにある。 【写真】豚足は塩でいただきます それは、飲み食いが好きな僕にとって大げさでなく無上の喜びだし、ベストな選択ができたことに対し、「自分って天才?」と、心密かに脳内でガッツポーズをとってしまう瞬間でもある。 そんな"ハマりメシ"を求め、今日もメシを食い、酒を飲むのです。 * * * その日はふたつのイベント参加の予定があった。 ひとつめは、新宿のトークライブハウス「ロフトプラスワン」で行われる古い友達の結婚パーティー。でありながら、ライブをはじめとした様々な催しがあり、そもそも新郎新婦を知らない人でも入場可能という、オープンイベント形式の珍しい催しだ。 ふたつめは、下北沢の「BONUS TRACK」という施設が会場の「BOOK LOVER'S HOLIDAY × 本屋B&B 12th ANNIVERSARY」。こちらは、6月に新刊『缶チューハイとベビーカー』を出させてもらった僕と、7月に新刊『家から5分の旅館に泊まる』を出版する、飲み友達のライター、スズキナオさん。そしてその2冊を作ってくれた編集者である森山裕之さんの3人で、本やグッズの即売およびサイン会をするという内容で、午後2時から9時までの長丁場。 午前中に家を出て、昼12時ちょうどの乾杯からスタートし、結婚パーティーが始まる。僕も午後1時すぎから少しの間、トークゲストとして登壇させてもらう予定だ。会場は当然お祭りムードで、しかも飲み放題だったので、当然控えめにしておくべきシチュエーションにもかかわらず、生ビールと数杯のキンミヤサワーを開けてしまう。 自分の出番が終わったら即、後ろ髪引かれつつも会場をあとに。あらためて、大久保岐信さん、真由子さん、ご結婚おめでとうございます。末長くお幸せに! さて、下北沢に着いた段階で、すでに2時を少し回ってしまっていた。急いで会場へ向かわないと。 そこからは約7時間弱、ひたすらに店の売り子をする。 自分の本が出ても、ふだんはそれを買ってくれる人の顔を見ることなんてない。ただひたすらに、誰かのもとに届いてくれたらいいなと願うのみだ。けれどもこういうイベントには、「いつも読んでいます」などとを言いながら、わざわざ時間と労力と交通費を使って本を買いにきてくださる人が、信じられないことに実在する。本当にありがたいことだし、ありがたい機会だ。そういう方々と実際に会話をさせてもらえることは、本当に嬉しい。 ただ、それはそれとして、僕は世間一般の平均値と比べても明らかに根性や体力がないから、こういう慣れない現場に7時間もいると、座っているだけなのにだんだん体がバキバキになってくる。世の勤め人の方の偉大さに敬服するばかりだ。 幸い会場は飲食禁止ではなく、というかむしろ、周囲に美味しい料理や酒を出すテイクアウト店などもたくさんあって、僕らも生ビールや缶チューハイなどをちびちびと飲みながら参加できたので、なんとか完走することができた。
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