「バームクーヘン」「ラ コリーナ」、その神髄は「柿色」の秘伝書に 全ての菓子は創業時から変わり続ける ~たねやグループの事業承継 前編
◆近江商人に通じる、たねやの三本柱
「天平道」「黄熟行」「商魂」が「たねや」が大事にする3本柱だと、山本氏は語ります。 天平道は、「商売はいかに儲けるか」ではなく、「いかにお客様に喜んでもらえるか、世のためになるか」ということです。「三方良し」の近江商人の哲学にも通じます。 黄熟行は、手塩にかけて育てることです。菓子の原料となる旬の果実が色づき熟れる様を元にした言葉で、自然から学びながら丁寧に育てるという意味です。 商魂は、利潤を求めることではなく、「天平道」「黄熟行」の魂を込めて客に接する心構えという意味です。 「人の道に外れた商いをしていては、いつかは破滅する」と強調する山本氏は、商売人のお手本のようですが、少年時代は「たねやのバカボン(バカのボンボン)」とあだ名される「悪ガキ」でした。 後編では、山本氏がどのように「たねや」を承継し、成長させたかに迫ります。