山本町長が給料2割削減 選挙で公約、議会可決、和歌山県みなべ町
和歌山県みなべ町は30日の町議会臨時会で、山本秀平町長の給料を任期中に限って2割削減する条例案を提出し、賛成多数で可決された。給料の削減は山本町長が9月の選挙戦で公約に掲げていた。 【「10年先を見据えて」 山本新町長に聞く、和歌山県みなべ町の記事はこちら】 条例案は「町長の給料の特例に関する条例」。11月1日から任期満了日の2028年9月28日までの間、山本町長の給料月額を2割減額する内容。9、10月分の給料はすでに支払われており、11月分の給料で調整し、11月の給料は41%削減することも、条例案の付則に記した。一方、期末手当は、従来の給料月額から算定する。 町長の給料は、町の条例で月額72万円、副町長は59万円、教育長は53万円と定められている。2割減額によって、山本町長の給料は月額57万6千円になる。 条例案の審議で、山本町長は提案理由を「4月25日に行った町長選の出馬会見で(給料の2割削減を)公約に掲げた。町の未来に相当な危機感を持っている。まずは自分から覚悟を見せる必要を感じたことから提案した。カットした分の予算を未来の子どもたちのためにも使いたいという思いがある。自分の姿勢を表したに過ぎないので、町職員の給料や議員報酬に同じように(減額を)求めたいという考えはまったくない」と説明した。 議員からは「結果として町長の給料が副町長よりも下がってしまう。副町長の立場からすると、居心地の悪さを感じるのではないか」「前町長の時は、諮問委員会で外部の意見を聞きながら、給料の額を決めた。実績を積んだ後、しかるべき時期がきたら、新たに諮問委員会で意見を聞いて再検討する考えはあるか」などの質問があった。 山本町長は「自分の経験の足りない部分を自覚しており、副町長にはこれまでの経験がある。そこは理解いただきたい。あくまでも自分自身の姿勢、覚悟を示すものである。4年間はきっちりと、減額のままでいきたい。職員の給料に影響することはないと明言する」と述べた。 ■「魅力ある町を次世代に」 山本町長が所信表明 30日の臨時議会では、9月29日の町長選で初当選した山本秀平町長が、冒頭で「魅力ある豊かなみなべ町を次世代につなぐことを、町民の皆さんとともに目指していきたい」と所信表明した。 山本町長は「人口減少、少子高齢化や、それらがきっかけとなる新しい課題に取り組まなければならない。みなべ町に対しても相当な危機感を持っている。だが、次世代に残すべきは不安ではなく希望のはず」と訴えた。 町政の基本方針を三つ列挙。1点目は「全世代が安心で安全な暮らし」とし、防災の強化、医療体制の維持、働き世代の居住地の確保と子育て環境の充実、教育への投資に取り組むとした。 2点目は「地域経済の活性化」を挙げ、第1次産業の所得向上、梅産業を守る取り組み、観光客や関係人口を創出し町全体に人流をつくり出すと述べた。 3点目には「行政改革」を挙げ、役場の体制の改革や財政の健全化に取り組むとした。 「行政ができることには限りがある。まちづくりの主役は町民の皆さん。皆さんの思いを応援するまちをつくっていく」と述べた。 また「人口減少期に今までと同じ行政サービスを続けることは、子どもたちに負担を先送りすることになる。今まであったことをやめるような苦渋の決断に至る場合もあるかと思う。それは魅力ある豊かなみなべ町を次世代につなぐ理念に基づく判断だと理解してほしい。理解してもらえるよう説明責任を果たしていく」と述べた。
紀伊民報