「マスコミもまた衆院選の敗者なのではないか」 政治部デスクの反省
番外編としての勝者は
「番外編としての勝者をあげるとしたら、法務検察ですね。自民党の派閥の資金パーティーをめぐる政治資金収支報告書への不記載問題を指摘して裏金問題として世の中に周知させたうえで関係者を訴追し、一方で当時の岸田首相に派閥解体を決断させて衆院選を通じて旧安倍派を中心に勢力をそぐことに成功しました。東京地検特捜部による一連の捜査で国民の望むような形で政治勢力が適正に配分されたという捉え方をするなら、特捜部の捜査を主導した法務検察も勝者となるでしょう」(同) 話を選挙後の永田町事情に戻そう。 「自公が少数与党となって首班指名でも四苦八苦している点について、新聞など大手メディアの多くは“与党の弱さ”を批判的に論じていますね。私が所属する会社でもそうですから自戒を込めて言いますが、旧来型の論調のままという印象です。でも、安倍政権一強の時には“政権与党の傲慢さ”を各メディアはこれでもかと指摘していたわけです。与党が弱くなったらなったで批判するというのはいささか矛盾があると見られるかもしれません」(同)
決められない政治
少数与党という現実について早速「決められない政治」になる、との批判も巻き起こっている。 「直近では、衆参両院で多数派が異なるねじれ状態に苦しんで退陣した福田康夫政権を想起させる指摘ですね。現状は自公与党にとっては国民民主を中心に野党に丁寧な対応が求められるので面倒くさい状況ではあります。が、国民の期待を受けた政党の主義・主張・政策を国政に反映させることは政権与党にとって決してマイナスではないはず。その時々でポジションを絶妙に変えて当事者を批判したり、政局優先や与野党の対決志向を盛んに煽ってきたりしたことについてメディア側も反省すべきだと思っています」(同) 一部のメディアが安倍一強時代に望んでいたのは建設的な議論ができる野党の存在ではなかったか。今回の衆院選の敗者には、旧い視点から脱することができなかった「メディア」も含まれることになるのかもしれない。 デイリー新潮編集部
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