ヤンキースのジャッジ（AP）

　大リーグの2024年の頂点を決めるワールドシリーズ（WS）は移動日を挟み、28日（日本時間29日）にヤンキースが地元ニューヨークにドジャースを迎え撃つ。ヤンキースはまさかの連敗スタート。第5戦まで開催される本拠地ヤンキースタジアムで巻き返しなるか、注目される。 　ヤンキースのOBかつ監督も務めたジョー・ジラルディ解説者は、ヤンキース傘下の米放送局YESに出演。1996年のWS（対ブレーブス）で、今回と同じように連敗発進した際、当時のジョー・トーリ監督の言葉を引いた。 　「彼は言った。『一番大事なのは第3戦だ。勝ってシリーズの舞台に戻るか、負けてほぼ敗退が決まるかのどちらかだ』とね」 　当時、ジラルディ解説者は正捕手としてプレー。一方、指揮1年目だったトーリ監督は、他にも「いいか、適切に準備をし、懸命にプレーし、チーム一丸になれば、いいことが起きるものだ。なぜか？　ヤンキースはいいチームだかだ」とナインを鼓舞したという。 　96年のヤンキースは、そこからグラビン、スモルツという将来殿堂入りする投手たちを攻略し、敵地で3連勝。その余勢を駆った第7戦は、通算355勝の『精密機械』グレッグ・マダックスに対し、3回にジラルディがセンターオーバーの三塁打を放ち、先制。直後にジーターとウィリアムズのタイムリーも飛び出し、一挙3得点。メジャー最強の『投手王国』を打倒して名門19年ぶりの世界一を達成すると、そこからトーリ監督の下、5年間で4度のWS優勝という『王朝』の礎を築いた。 　ジラルディ解説者は2008年にトーリ監督からバトンを受けて指揮官となると、翌09年に松井秀喜さんらを率いてWS優勝。松井さんは日本選手で史上唯一、同シリーズのMVPを獲得した。 　同解説者は、さらに「ヤンキースはホームでもっといいプレーをしてくれるはずだ。第1、2戦も負けはしたが、両試合とも勝ちが遠かったわけではなかった。だから、そこから良かった面を抽出すればいい。ここからはアーロン・ブーン（監督）の着実さがものをいう。自信を持って選手たちに第3戦の準備をさせることだ」とした。 　そこに加えて「クラブハウスでのリーダーシップ」も重要だとし、ソトとリゾの2人はWS優勝を経験していると指摘し、「2人はWSで勝つためには何が必要かを知っている。彼らの経験をチームで分かち合うことも重要だ」と説いた。リゾは2016年にカブスの主軸としてWSで打率・360をマーク。チームを108年ぶりの世界一に導き、通称『ヤギの呪い』を解いた。一方のソトはナショナルズ時代の19年、弱冠20歳の主砲としてWS7試合で3本塁打、7打点をたたき出し、球団史上初の世界一に貢献した。（写真はAP）