「子どもの居場所なくさないで」少年による西鉄高速バス乗っ取り事件、被害者の山口由美子さん 不登校の子 理解されることで生きやすく
文部科学省の調査では、全国の小中学校で不登校の児童生徒は2022年度に29万9048人となり、過去最多を更新した
以前は学校になじめない子も「あの子はそういう子」と受け入れられていた。でも今は受け入れられないことが増え、さらに居場所がなくなっている気がします。 例えば、フリースペースに中学1年の時に来た男の子は、学校で暴れて手が付けられないといわれていました。でも来てみると子ども同士の小さなけんかがあったくらい。学校では考えを抑えつけられるのが嫌だったみたい。中学卒業まで通い、定時制高校に進学。その後生徒会長にもなったそうです。 今の学校教育は「社会に適応する子」をつくろうとしていると感じています。先のことを考えているんですね。でも大事なのは今じゃないでしょうか。私は、子どもには「子ども自身」を生きてほしいと思っています。 ◇ やまぐち・ゆみこ 1949年、佐賀県生まれ。2000年5月、西鉄高速バス乗っ取り事件に遭遇し、重傷を負う。01年に不登校の親の会を仲間と立ち上げ代表に。翌年、不登校の子どものフリースペース「ハッピービバーク」を開設した。佐賀少年刑務所での月1回の講話のほか、各地で講演活動をしている。 西鉄高速バス乗っ取り事件 2000年5月3日、佐賀発福岡行きの西鉄高速バスが、福岡県の九州自動車道を走行中に無職少年=当時(17)=に乗っ取られた。車内の女性客1人が刺殺され、乗客4人が重軽傷を負った。翌日の4日早朝、広島県東広島市の山陽自動車道小谷サービスエリアに停車していたバスに捜査員が突入。人質を救出し、少年を逮捕した。