「優勝することで最高な終わり方ができると思っていた」 ランゲラック、 名古屋グランパス最終章に待っていたタイトルとMVP【ルヴァン杯】
◇2日 ルヴァン杯決勝 名古屋3―3(PK5―4)新潟(国立競技場) 名古屋グランパスが2021年以来、3大会ぶり2度目の優勝を果たした。大会史上最多6万2517人が詰めかけた一戦で、PK戦までもつれる激闘を制した。優勝賞金は1億5000万円。今季限りでチームを去る主将のGKミッチェル・ランゲラック(36)は最後のタイトルにMVPで花を添えた。 ◆名古屋グランパス、歓喜の輪で喜び爆発【写真複数】 いつも誰かのために戦う守護神ランゲラックが、この日の主役となった。PK戦で新潟の2人目が失敗。直後、自らがキッカーとなり、ゴール左へと決めた。5人目のFW山岸が決め優勝が決まると、歓喜の輪の中心にランゲラックがいた。 前半でFW永井の2ゴールで2点をリードしながら、後半終了間際にPKで同点にされ、延長前半に勝ち越しても追いつかれた。苦難の末につかんだ3大会ぶりのタイトル。守護神は「今シーズンを象徴するような試合になったのかなと思う」と振り返った。 7月、今季限りで7年在籍したグランパスを去り、母国オーストラリアに戻ると発表。リーグ優勝の可能性がかすむ中で、チームは「ルヴァン杯をランゲラックのために」と結束。しかし、決勝に臨む当の本人は、違う考えだった。 「正直あまり心地よくないなと思っていた。日本に長くいたし、主将ということもあるが、そこではなく、チーム全員で戦うことが重要。1分プレーした選手、フル出場した選手、けがをしている選手、その他いろんな人がいる。そういう人のために戦わなければいけない」 数々のスーパーセーブでチームを救ってきたが、周囲は人柄も語る。昨季まで主将だったMF稲垣は「優しさ、思いやりのある心。そういった人間的な部分が特に好き」と表現する。 表彰式でも、優勝カップは稲垣と2人で掲げた。稲垣は「僕は本当に拒否して、1人でやってくれって言ったんだけど。『いや、もうこれは俺のお願いだ。俺の思いなんだ』って。そんなに強く言われることないんだけど」と真相を明かした。 「試合前から2人で掲げるんだと言っていた。実際にできてすごくうれしかった」と満足そうな笑みを浮かべたランゲラック。どこまでもナイスガイ。本人の思いとは別に、自然と慕われ、中心となっていく。 グランパスの選手としては最終章。「優勝することで最高な終わり方ができるのかなと思っていた。実現できて本当にうれしい」。結末には、よく似合うさわやかな笑顔が待っていた。
中日スポーツ