「亀田の柿の種」会長はインド出身! 社員約4000人を巻き込む、驚きのコミュニケーション術
社員4000人と会話する
米のポテンシャルを世界に発揮しその名を轟かすために。CEO就任後に最初にジュネジャ氏がしたことは、社長である髙木政紀氏とともに亀田製菓社員約4000人に直接会いに行くことだった。 「入社して2年間、副社長として社員とはコミュニケーションをとっていたつもりです。けれど、いざ外国人がCEOになったとなると、少なからず不安に思う社員もいたでしょう。私が全社員の生活を背負う、その覚悟を見てほしい。そう思って日本各地の拠点を周り、社員一人ひとりへ挨拶をしに行ったんです」 工場は24時間稼働のため人員は3交代制。その交代ごとにジュネジャ氏は訪れ、働くすべての人に会った。就任当時、世の中はコロナ禍だったため、海外にある拠点やグループ会社のメンバーにはオンラインで会い、コロナ禍が明けすぐに各国へ飛んだ。 「なんでもいいから、思っていることを話してほしいし、聞きたいことがあったら聞いてほしい。そう社員たちに伝えました。待遇についての意見を直接言ってもらうのはもちろん、『どんなカレーを食べているんですか』という質問までありましたよ(笑)。気軽に話せる雰囲気を作らなければ、足並みは揃わない。だってそうでしょう? コロナがあり、ウクライナ戦争があり、為替もエネルギーコストも上がる一方。なんでこんな時期にCEOになってしまったのかと思いますよ(笑)。でもこんな時期だからこそ、社員たちにはより力を発揮してほしい。 私の経営方針は『人を大事にすること』『イノベーションを起こすこと』『収益を上げること』。まず社員を大事にすれば、ステークホルダー(取引先や顧客など事業に関係するすべての人)との関係も良くなります。社員がやる気を出さなければ収益が上がるはずはありません。福利厚生や給与はもちろん、これまでの彼らの仕事への愛着と誇りも大事にしたいと考えているんです」 そう語るジュネジャ氏、本誌インタビューの前後も社内で社員に声をかけ、談笑していた。声をかけられた社員もまたリラックスして対応しているように見え、社員とCEOの距離の近さがうかがえた。 インタビュー第2回では、ジュネジャ氏がこれまで歩んできた道、そして世界的企業を目指す、亀田製菓の戦略についても紹介する。 ジュネジャ・レカ/Lekh Juneja 1952年インド・ハリヤナ州出身。1984年大阪大学工学部に研究生として入学。1989年太陽科学入社。2003年に代表取締役副社長に就任。2014年にロート製薬へ移り取締役副社長に。ロート製薬子会社の社長なども務め、2020年に亀田製菓へ副社長として入社。2022年代表取締役会長CEO就任。
TEXT=安井桃子