「亀田の柿の種」会長はインド出身! 社員約4000人を巻き込む、驚きのコミュニケーション術
「亀田の柿の種」や「ハッピーターン」「ぽたぽた焼」など日本人なら誰でも食べたことのある米菓を製造する亀田製菓。新潟に本社をおくこの老舗企業を率いるのは“インド出身”であるジュネジャ・レカ氏だ。日本の伝統菓子であるせんべい、その老舗である亀田製菓のトップとなった狙い、そして経営者だからこそ大事にしている社員との関係作りについて聞いた。 【写真】亀田製菓会長、ジュネジャ・レカ氏
「米」で世界にイノベーションを起こす
“It was my destiny.” 「あなたは、なぜ亀田製菓にやってきたのでしょうか」という問いに、亀田製菓代表取締役会長CEOのジュネジャ・レカ氏はそう言いながら微笑んだ。 インド北部の都市ハリヤナ州で生まれ育ち、1984年に大阪大学工学部に研究生として入学。以来40年間、ジュネジャ氏は日本で暮らしている。2020年に亀田製菓に入社する前は、ロート製薬の副社長というポジションにいた。 「運命というかご縁というか。田中通泰前会長に誘われて、亀田製菓の若い人たちとお話をする機会があったのです。とてもたくさんのアイディアと可能性、躍進の種を持っているなと感じ入社を決めました。そもそも亀田の柿の種は大好きでして、ずっとカバンの中に入っていたんですよ(笑)。昔からインドに帰る際やアメリカ出張の際はお土産として亀田の柿の種を持っていっていましたが、どこに行っても大人気でしたよ」 流暢な日本語でそう話すジュネジャ氏。副社長として亀田製菓に入社した2年後の2022年にCEOに就任。その際に、心に決めたことがある。 「亀田製菓を世界に出す、ということ。当時すでにアメリカ、中国、ベトナムなどにも工場を持っていて、各国で米菓は売られていました。さらにアメリカで『ライスクラッカー』と呼ばれ売られている商品のうちの多くは亀田製菓グループのものです。けれど果たして、世界でどれほど、亀田製菓という名前が知られているでしょうか? 残念ながらほとんど無名です。スターバックスコーヒーやケンタッキーフライドチキンのように、世界中がその名を知る企業に私たちはなれるはずなのに。そのポテンシャルは確かに持っているんですよ」 ジュネジャ氏が言うポテンシャルとは、ずばり「米」。亀田製菓グループでは米菓以外にも米粉のパンや火を使わずに食べられるアルファ米商品なども手掛けている。 「世界ではアレルギーを持つ子供たちが年々増えていて、小麦の摂取過多によっておこるセリアック病という疾患もあります。一方で米はそもそもグルテンフリーで、アレルギーも少ない。米粉のパンなら誰でも食べられます。まさに世界が今、必要としている食品なのです。米で世界にイノベーションを起こすことができる。 さらに食糧危機が地球規模で叫ばれている現在、ビーガンになるという選択をする方も増えています。ですから私たちは代替肉としてのプラントベースフードも生産しているのです。みなさんご存じだと思いますが、亀田のおせんべい、あられ、全部美味しいですよね? 美味しいものを作れる会社が、健康と環境について真剣に取り組んだら、まさに世界を救うことができるはずなんです」