仙台育英、夢は夏へ 中止に惜しむ声 田中主将「チーム立て直す」 /宮城
<センバツ高校野球> 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、第92回選抜高校野球大会(高校野球連盟、毎日新聞社主催)の中止が11日決まり、出場校の仙台育英の須江航監督や田中祥都主将(2年)、チーム関係者からは中止を惜しむ声や次の目標に気持ちを切り替える声が上がった。 【真夏の熱闘】交流試合の写真特集はこちら 「中止の心構えはできていたと思う。ギリギリまで開催に向けて準備していただけたことに感謝している」。須江監督は同日、報道陣の取材に応じ、中止の決定を冷静に受け止めた。田中主将は「ここまで準備してきたことを踏まえて、夏に向けてチームを立て直したい」と前を向いた。 同校硬式野球部OB会長の鈴木洋一さん(64)は「他の競技が中止になっているので仕方ないが、選手たちはセンバツを目指してきつい練習を乗り越えてきたので……」と複雑な反応。野球部保護者会長で宮本拓実選手(2年)の父、宮本和也さん(46)は「仕方ない。(息子には)夏に切り替えてがんばれと言いたい」と話した。 育英ナインは入江大樹選手(同)を主軸とする打線が活躍し、2019年秋の東北王者に。向坂優太郎投手(同)や笹倉世凪投手(1年)ら厚い投手陣や、木村航大捕手(同)も成長し、東北初の甲子園優勝を目指しており、夢は夏へと持ち越された。【滝沢一誠、生野貴紀】 ◇書道、吹奏楽、チアリーディング部 仲間の思い届かず 日本一を目指して練習を重ねてきた仙台育英硬式野球部の選手たちと共に、大勢の仲間たちがそれぞれの「甲子園」を夢見てきた。 「力強い字で、勝つといいなという気持ちを込めて書きました」。こう話していたのは、センバツ開会式の入場行進で使われるプラカードの校名を揮毫(きごう)していた仙台育英書道部の岡崎聖令(せいら)さん(2年)。書道部は2018年度の国際高校生選抜書展団体の部で初の全国優勝に輝いた。野球部の須江航監督からは「日本一になった書道部。令和最初のセンバツにふさわしい、躍動感のある生命力にあふれた字を書いてほしい」と期待されていた。残念ながら、甲子園で揮毫した文字が披露されることはなかった。 甲子園のアルプススタンドから選手たちに演奏で大きな力を送るはずだった吹奏楽部。部長の関内里菜さん(2年)は中学時代に甲子園で演奏する吹奏楽部に憧れて仙台育英に入学した。「甲子園に育英サウンドを届けたい」と意気込んでいた。 吹奏楽部の演奏に合わせて笑顔でアルプススタンドを彩るはずだったのがチアリーディング部。主将の伊藤愛紗さん(2年)は「笑顔を絶やさず、応援に来た人たちも楽しませたい」と語り、選手と一緒に勝ち進んでいくと宣言していた。 書道部顧問の渡辺章紀教諭は「新型コロナウイルスの拡大で、選手にせよ関係者にせよ、それぞれの立場で難しい判断を迫られた。中止は残念ですが、皆が次の舞台に向けて頑張っていけたらいいと思います」と話した。