フォードはいったいどこへ向かう!? 「ローンを滞納すると自動でディーラーに帰るクルマ」「ピザの自動配達」に続き「麻薬の運び屋防止装置」を開発していた
フォードがまたユニークなシステム開発に着手
いったい、フォードの技術開発はどこを目指しているのでしょうか。 つい先日も、彼らはローンの支払いが滞るとクルマが自らオーナーの元を離れてディーラーへ戻る機能を発表したり、ピザの宅配に特化した自動運転を実地検証するなど、およそ「あったらいいな」をはるかに超越しているかと(笑)。一方では、半導体チップが不足したら、ちゃっかり冷暖房機能の一部を削ってしまったりと、ピュアなクルマ作りとはいささかズレている気がしてなりません。 【画像】フォードが50年続けている「スーパーバン」という魔改造プロジェクトの最新作「スーパーバン4.2」のフロントまわりを見てみる が、そんなフォードがまたしてもやらかしてくれました。今度は麻薬の密輸を根絶しようという画期的なものですが、はたしてどんな技術なのでしょう。 アメリカ本土で問題になっているのは、麻薬など違法な品物を知らないうちに運ばされているケースだそうです。この手口は、毎日同じルートを走っているクルマに密かに麻薬などを積み込み、目的地で悪党の仲間がこれまた知らないうちに荷物をピックアップするというもの。 これがなにかの拍子に検挙(多くの場合がアメリカとメキシコの国境だそうです)された場合、ドライバーは何も知らない、悪党とは一切の関りがないと主張したとしても、当然逮捕拘留されるわけで、無実無関係を立証するのにはかなりの時間と弁護士費用がかかってしまうのです。 こうした「無実のドライバーをなくそう、救おう!」というのがフォード技術開発の趣旨で、「車両用の未知の貨物の検出および証拠収集システム、および関連する方法」についての特許を取得したとのこと。要するに、未知の貨物=麻薬の積載を検知するシステムで、センサーやマイク、マクロ静電容量センサーなどで車両内への侵入を検知してくれるのだそうです。 たとえば、空気圧センサーをとおして車両のわずかな重量増しを検知し、マイクはタイヤハウスの内側に何かが取り付けられた音などを検知するなど、仕組みとしてはさほど難しいものではないでしょう。 当然、検知したデータは記憶され、これがのちにドライバーの無実を証明してくれるはず、というわけ。また、GPSも搭載されているため、麻薬がピックアップされた場所を特定することで密輸組織の摘発にも役立つことが期待されています。 もっとも、フォードは特許こそ取得したものの、市販車への搭載やシステムの発売などは予定していないとのこと。せっかくの技術なのに、これでは「株価アップ」の材料にしたと勘ぐられても致し方ありませんね。 昔のスパイ映画などで、知らないうちにアタッシュケースがすり替えられ、国際諜報事件に巻き込まれていく……などというストーリーがありましたが、フォードのおかげでこうしたスリルもサスペンスも過去のものになってしまいそう。無実のドライバーには申し訳ありませんが、お節介ともいえるフォードの特許ではあります。
石橋 寛
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