〈パリ五輪〉富山県勢メダルあと一歩 諦めない姿に感動
富山県勢は7競技10選手が出場し、2012年ロンドン大会以来のメダルなしに終わった。日本全体では、金メダル20個、総数45個と海外開催の五輪での最多記録を更新した。メダルには届かなかったが、久々に観客を入れて開催された大会は各会場で盛り上がりを見せ、県勢は「次はロス」と4年後の雪辱を期して前を見据えた。 ●信念感じた一言 今大会は、2大会連続のメダルを狙ったスケートボード女子ストリートの中山楓奈選手(富山市出身)が決勝進出を果たしたが、表彰台には上がれなかった。失敗しても最後まで代名詞の技にこだわり、「自分の技を見てもらいたかった」と語った中山選手。寡黙な印象だったが、その一言から人一倍強い信念を19歳に感じた。 バドミントン女子シングルスの大堀彩選手(トナミ運輸)も準々決勝まで進んだ。表彰台には届かなかったが、決勝トーナメント1回戦の逆転劇にはしびれた。リードされても諦めず、シャトルを拾う姿に会場から大きな歓声が上がった。 ●本場欧州沸かせる 東京大会では見られなかった満員の観衆は県勢の力になったと思う。欧州が本場のハンドボールや水球は出場国にかかわらず常に会場が埋まっていた。稲場悠介選手(富山市出身)の水球も安平光佑選手(氷見市出身)のハンドボールも予選で1点差の接戦を繰り広げ、欧州ファンを沸かせた。 八村塁、馬場雄大両選手(いずれも富山市出身)が出場した地元フランス戦も白熱した戦いだった。わずかな差で敗れたが、大会のハイライトの一つだろう。 全力を出し切った選手は、いずれも涙を浮かべ、悔しさや夢の舞台に立てた喜びを語ってくれた。一人一人の物語に心打たれた17日間だった。 4年に一度の舞台だからこそ得られるものがある。独特の雰囲気に包まれ、日本では経験することのない大声援を浴びてプレーしたことで、富山の選手たちは一回りも二回りも成長したに違いない。(田島大之) ●県勢「金」は 田知本、登坂 県勢は夏季の過去2大会では、リオデジャネイロ(2016年)で柔道女子70キロ級の田知本遥選手(射水市出身)とレスリング女子48キロ級の登坂絵莉選手(高岡市出身)が金メダルを獲得。東京では柔道混合団体で向翔一郎選手(同)が「銀」、中山選手が「銅」に輝いていた。